特定原材料に準ずる品目(推奨表示)の詳細と表示の実務
この記事の要点(3点)
- ・ 特定原材料(義務9品目)とは別に、特定原材料に準ずるもの(推奨20品目)の表示は任意だが推奨される
- ・ 推奨品目は義務品目より症状が軽い・患者数が少ないとされるが、重篤な反応が起きないわけではない
- ・ 推奨品目の表示は個別表示・一括表示のどちらも可能。書き方は義務品目と同じルールを準用
根拠: 消費者庁通知「食品表示基準について」別添、消費者庁「アレルギー物質を含む食品に関する表示Q&A」
1. 義務品目と推奨品目の違い
「アレルゲン表示」と一括りに考えていると、思わぬ見落としにつながります。 食品のアレルゲン表示には、表示が義務付けられている特定原材料(食品表示基準 別表第14)と、表示が推奨される特定原材料に準ずるもの(消費者庁通知「食品表示基準について」別添)の2種類があるためです。 義務品目への違反は食品表示法違反となりますが、推奨品目は表示しなくても違反にはなりません。
| 区分 | 根拠条文 | 品目数 | 表示の性質 |
|---|---|---|---|
| 特定原材料 | 別表第14 | 9品目 | 義務(含む場合は必ず表示) |
| 特定原材料に準ずるもの | 消費者庁通知別添 | 20品目 | 推奨(任意。表示しなくても違反にならない) |
推奨品目は「義務品目より患者数が少ない、症状が比較的軽い」という分類理由がありますが、 それが「食べても安全」を意味するわけではありません。 アレルギー患者にとっては推奨品目でも重篤な症状が起きる可能性があります。 推奨品目を表示することは、食品アレルギーを持つ消費者への誠実な情報開示です。
2. 現在の推奨20品目一覧
消費者庁通知「食品表示基準について」別添に定める特定原材料に準ずるものは以下の通りです。 2019年9月にアーモンドが追加され、2026年4月にはカシューナッツが義務品目(別表第14)に昇格したこと、 ピスタチオが推奨品目として新たに追加されたことにより、現在の推奨品目は20品目となっています。
- ・ カシューナッツ:2026年4月1日に推奨品目から義務品目(特定原材料)に昇格(2026年4月1日施行の食品表示基準改正)
- ・ ピスタチオ:2026年4月1日に推奨品目として新規追加(消費者庁通知「食品表示基準について」の改正)
- ・ アーモンド:2019年9月19日に推奨品目として追加(令和元年9月19日消食表第322号)
- ・ まつたけ:2024年3月28日に推奨品目から除外(令和6年消費者庁事務連絡)
- ・ マカダミアナッツ:2024年3月28日に推奨品目として追加(令和6年消費者庁事務連絡)
3. 推奨品目の表示方法
推奨品目の表示方法は、義務品目と同様に個別表示(原材料名の直後に括弧書き)または一括表示(原材料名欄の最後にまとめて記載)のいずれかを選択できます。
個別表示の例(推奨)
一括表示の例
義務品目と推奨品目を一緒に一括表示に含める場合、 義務品目(特定原材料)は「一部に含む」のリストに必ず含める必要があります。 推奨品目は省略可能ですが、含める場合は義務品目と同じリストに記載できます。
4. 推奨品目の実務上の重要ポイント
複合原材料に含まれる推奨品目の扱い
義務品目の場合と同様に、複合原材料(醤油・ドレッシング・タレ等)に 推奨品目が含まれている場合も、その旨を表示することが推奨されます。 例えば、醤油には大豆(推奨品目)が含まれており、醤油を使用する製品では 「(一部に大豆を含む)」の表示が一般的です(大豆は推奨品目)。
法改正への対応体制
推奨品目は法改正によって品目数が変わります。 2023年・2026年の改正のように、新たな品目の追加や義務品目への昇格が行われることがあります。 ラベルを定期的に見直しておかないと、義務品目への昇格(例:カシューナッツ)を見落とし、 そのまま法令違反につながります。
アレルゲン対応を製品価値として訴求する場合
アレルギー対応食品として積極的に市場展開する場合、 推奨20品目を含む全アレルゲン情報をもれなく表示し、 製造環境でのコンタミネーションも管理していることが、消費者の信頼を得る基盤になります。 推奨品目を表示しないことは違反ではありません。 ですが、アレルギーのある消費者が安全に購入できる製品を探しているとき、 推奨品目まで明示されている製品のほうが選ばれやすくなります。
5. 推奨品目別の主な注意事項
| 推奨品目 | 主な注意事項 |
|---|---|
| 大豆(だいず) | 醤油・味噌・豆腐・大豆油・豆乳等に含まれる。醤油を複合原材料として使用する製品で見落とされやすい |
| ごま | ごま油・タヒニ・ドレッシング等に含まれる。微量でも反応する場合あり |
| アーモンド | 2019年9月19日に推奨品目として追加(令和元年9月19日消食表第322号)。アーモンドプードル・アーモンドミルク等で注意 |
| ピスタチオ | 2026年4月1日に推奨品目として新規追加(消費者庁通知「食品表示基準について」の改正)。ミックスナッツや菓子類で注意 |
| バナナ | ラテックス-フルーツ症候群との関連が知られる。生果実・バナナ風味品等で注意 |
| 醤油由来の大豆(だいず) | 高度加工によりたんぱく質が変性しているが、アレルゲン性について注意が必要 |
※ 上記は主な注意事項を例示したものです。各品目の詳細は消費者庁「アレルギー物質を含む食品に関する表示Q&A」を参照してください。
まとめ
特定原材料に準ずる品目(推奨品目)は現在20品目で、表示は義務ではなく推奨です。 ただし、アレルギー患者にとっては推奨品目でも重篤な症状を引き起こす可能性があり、 「義務ではないから表示しなくてよい」とは言い切れません。 表示方法は義務品目と同じ(個別表示・一括表示)のルールを準用します。
法改正により品目数が変わること(カシューナッツの義務品目昇格・ピスタチオの追加等)を踏まえ、 定期的なラベルの見直しと最新情報の確認が欠かせません。
義務品目(特定原材料9品目)の詳細についてはアレルゲン表示完全ガイドで解説しています。コンタミネーション(交差接触)の表示についてはアレルゲンのコンタミネーションと注意喚起表示の考え方もご参照ください。
参照法令: 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)、 食品表示法(平成25年法律第70号)、 消費者庁「アレルギー物質を含む食品に関する表示Q&A」、 消費者庁通知「食品表示基準について」別添(推奨品目の根拠)、 2026年4月1日施行の食品表示基準改正(カシューナッツ義務化)、 消費者庁通知「食品表示基準について」の改正(ピスタチオ推奨品目追加)
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