デリバリー手数料と価格設定|30%を織り込んだ二重価格の設計


この記事の要点(3点)

  • ・ デリバリープラットフォームの手数料は売上の30%前後が相場とされる。店内価格のままの出品は「売れるほど苦しい」構造を作る
  • ・ 実務の標準はアプリ価格の上乗せ(二重価格)。食材原価+手数料+包材費から逆算した「アプリ用の原価率設計」を持つ
  • ・ 手数料を払う価値は新規客の獲得チャネルにある。リピートを自店注文(電話・自社EC)へ誘導する導線が利益率を変える

※ 手数料率・規約はプラットフォームと契約により異なります。

1. 30%という数字の重さを直視する

店内で800円のから揚げ弁当をアプリで800円で売ると、 手数料30%なら手取りは560円です。 食材原価が280円(原価率35%)なら、 手取りに対する原価率は50%。 ここに包材費が数十円乗り、利益はほぼ消えます。 「注文は増えたのに儲からない」の正体は、この単純な算数です。

まず自店の状況で、 「手取り=価格×(1-手数料率)」から逆算した アプリ上の損益を商品ごとに一度計算してください。 この表を持たずにデリバリーを続けることは、 値札のない商売をしているのと同じです。

2. 二重価格という実務の標準

対策の主流は、アプリ価格を店内価格より上げる二重価格です。 800円の弁当をアプリでは980〜1080円で出す。 この上乗せは「ぼったくり」ではなく、 配達という追加サービスのコスト(手数料・包材)の転嫁であり、 利用者側もデリバリーの相場観として受け入れつつあります。

  • 上乗せ率の設計:手数料率と包材費から、手取りベースの原価率が 店内と同水準になる価格を逆算する(上乗せ2〜3割が一つの目安)
  • 規約の確認:価格設定に関するプラットフォームの規約を確認の上で設計する
  • セット化での見せ方:単品の上乗せが目立つ場合、アプリ限定セットで 実質単価を上げる方法もある(セットメニューの原価配分参照)

3. 手数料は「広告費」として回収する

30%の手数料に見合う価値は、配達代行そのものより新規客との接点にあります。 アプリはあなたの店を知らない人に表示してくれる広告面です。 この視点に立つと、戦略は明確になります。

  • 初回客はアプリで獲得する(手数料=獲得コスト)
  • リピートは手数料の低い自店チャネルへ誘導する: 商品にショップカード(電話注文・自社サイト・LINE)を同梱し、 「直接注文なら〇%お得」の設計にする(同梱物の可否は規約確認)
  • アプリ内の評価を守る(写真と実物の一致、欠品管理)。 評価は広告面での表示順位に直結する

配達品質そのものの設計はデリバリー食品の衛生管理をご参照ください。

4. 出品構成の最適化

全メニューをアプリに載せる必要はありません。 デリバリー適性(30分後も美味しい)と手取り粗利の 両方で選抜した構成が、評価と利益の両方を守ります。

  • 手取りベースの粗利額が大きい商品を主役にする
  • 配達で品質が落ちる商品(揚げたて命、麺類の一部)は外す勇気を持つ
  • アプリ限定商品(配達耐性を最初から設計した商品)は理想形
  • 月次でアプリ売上の手数料・販促費を集計し、チャネル別損益を見る

よくある質問

Q. アプリ価格を上げると注文が減りませんか?

A. 一定の影響はあり得ますが、デリバリー利用者は利便性への対価を 受け入れる傾向があり、適正な上乗せでの注文減は限定的というのが 多くの店の実感です。赤字で売り続けるよりも健全です。

Q. 複数のプラットフォームに出すべきですか?

A. 露出は増えますが、メニュー情報・在庫・価格の管理箇所も増えます。 管理が回る範囲で始め、チャネル別の手取り損益を見て絞り込むのが実務的です。

まとめ

デリバリー手数料は、手取りベースの損益表を作ることから 対策が始まります。二重価格で原価構造を守り、 手数料は新規獲得の広告費と位置づけ、 リピートを自店チャネルへ育てる。 この設計があれば、30%は払えないコストではなく 使いこなす投資になります。

客単価の設計は客単価アップの考え方をご参照ください。


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