セットメニューの原価配分|単品の足し算にしない設計


この記事の要点(3点)

  • ・ セットの原価は構成品の原価合計、セットの価値は単品合計からの割引感。この差の設計がセットメニューの本体
  • ・ セットに入れるべきは低原価・高満足の品目(ドリンク、スープ、小鉢)。高原価品を入れると割引が原価を直撃する
  • ・ セット装着率と単品移行率を実測し、「セットで客単価が上がったか」を検証する。割引だけが進むセットは設計ミス

※ 数値は一般的な目安です。業態により変わります。

1. セットは「割引」ではなく「増額」の装置

セットメニューの目的を「お得感の提供」と考えると設計を誤ります。 経営側から見たセットの目的は、単品だけで帰るはずだった客の客単価を引き上げることです。 ラーメン単品850円の客が、餃子セット1150円を選ぶ。 このとき店は300円の売上と、餃子の原価を差し引いた粗利を新たに得ています。

つまりセットの評価軸は「割引率」ではなく 「セットによる客単価の純増×装着率」です。 この視点に立つと、セットに何を入れるべきかの答えも変わってきます。

2. 構成品の選び方: 低原価・高満足

セットの割引原資は構成品の粗利から出ます。 だから構成品は原価が低く、満足度への寄与が大きい品目が適します。

セット向きの品目理由
ドリンク原価率10〜20%。割引しても粗利が残る(ドリンクの原価率参照)
スープ・小鉢・サラダ仕込み置きできて提供が速く、満足度の底上げに効く
ご飯もの(ミニ丼)米の原価は低く、満腹感への寄与が大きい
デザート(小)食後の満足を作り、女性客・ファミリーの選択率を上げる

逆に、刺身や高級食材のような高原価品をセットの「おまけ」に使うと、 割引が原価を直撃します。高原価品はセットの主役(単価を上げる側)に 置くのが原則です。

3. セット価格の決め方

  1. 構成品の原価合計を出す:主品+セット品の材料原価(レシピ原価計算の基礎
  2. 単品合計価格を出す:割引感の基準線になる
  3. 割引幅を決める:単品合計の5〜15%引き程度が「お得だが安売りでない」目安。 割引後のセット全体の原価率が目標圏内かを確認する
  4. 端数を整える:980円、1180円のような価格の見え方も選択率に効く

複数セット(松竹梅)を作る場合の選択誘導は客単価アップの考え方で扱った極端回避性の設計が使えます。

4. 実測による検証

セットの成否はPOSデータで検証できます。

  • 装着率:主品の注文のうちセットを選んだ割合
  • 客単価の変化:セット導入前後の平均客単価
  • 共食い(カニバリ)の確認:もともと単品2品頼んでいた客が 割安なセットに移っただけなら、売上は減る。導入前後の構成比較で見抜く

「セットがよく出ている」ことと「セットが利益を増やしている」ことは 別です。数字での検証を、導入から1〜2か月後の定例作業にしてください。 検証の結果が悪ければ、割引幅の縮小、構成品の入れ替え、 セット自体の終了と、選択肢を持って対処します。 一度作ったセットを聖域にしないことが、 メニュー全体の健全性を保ちます。

よくある質問

Q. セットの割引はどのくらいが適切ですか?

A. 単品合計の5〜15%引き程度が目安です。割引が大きいほど装着率は上がりますが、 客単価の純増効果が割引に食われます。装着率と粗利増の実測でバランス点を探ってください。

Q. ランチセットとディナーセットは同じ設計でいいですか?

A. 役割が違います。ランチは回転前提の固定セット、ディナーは客単価を上げる選択式セットが 基本形です。ランチとディナーの価格設計をご参照ください。

まとめ

セットメニューは、低原価・高満足の構成品で客単価の純増を作る装置です。 割引の原資は構成品の粗利から出すこと、 高原価品はおまけにしないこと、 導入後は装着率と客単価で検証すること。 この3原則で、セットは「安売り」から「利益設計」に変わります。

コース形式の原価設計はコース料理の原価設計をご参照ください。


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