キッチンカーの営業許可|自動車営業の基準と仕込み場所問題
この記事の要点(3点)
- ・ キッチンカーは自動車による飲食店営業の許可を取る。2021年平準化で給水タンク容量(約40L/80L/200Lの3段階)が提供できる調理の範囲を決める設計になった
- ・ タンク容量が小さいと単一品目・簡易調理のみ。大容量なら車内での仕込みを含む本格調理まで。車両設計が業態を決める
- ・ 広域出店では出店地ごとの許可が原則だったが、平準化により1つの許可で広域を扱う運用も広がっている。出店計画に合わせた確認が必要
根拠: 食品衛生法(2021年6月施行の改正営業許可制度)
1. 水の量が業態を決める
2021年の施設基準平準化で、キッチンカーの設計思想は明快になりました。車に積む給水タンクの容量が、できる営業の範囲を決めるという原則です。
| 給水タンク | できる営業の目安 |
|---|---|
| 約40L | 簡易な調理のみ(温める、揚げる、盛り付ける等)。単一品目が目安。使い捨て食器 |
| 約80L | 複数品目の調理。大量の水を要しない範囲の仕込みを含む調理 |
| 約200L | 通常の飲食店に近い調理。車内での仕込み、通常の食器の使用も視野 |
数値と運用の細部は自治体で確認が必要ですが、 「大きなタンク=広い自由」という構造は共通です。 中古のキッチンカーを買うときは、 タンク容量が自分のメニュー構想に合うかを最初に見てください。 後からの増設は改造費がかさみます。
2. 仕込み場所問題
小さいタンクの車で営業する場合、 自宅で仕込んで車で仕上げる、という発想が自然に出てきますが、自宅の台所は仕込み場所として認められません。 仕込みを行う場所は営業許可を持つ施設(自店、シェアキッチン等)である必要があります。
このため、キッチンカー開業の実際の構成は次のいずれかになります。
- 大容量タンクの車両で車内完結(仕込み場所不要の設計)
- 許可付きの仕込み場所(実店舗、シェアキッチン)+小型車両
- 仕込み不要のメニュー設計(既製品の加熱提供等)
シェアキッチンを仕込み場所にする場合の確認事項はシェアキッチン利用時の許可をご参照ください。
3. 広域出店と許可の範囲
キッチンカーの収益は出店場所で決まるため、 複数の都県をまたぐ出店計画が普通にあり得ます。 従来は自治体(保健所管轄)ごとに許可を取り直す負担がありましたが、 2021年の平準化により、施設基準の統一を背景に 広域での運用が改善されつつあります。 それでも許可の地理的範囲の運用は自治体間で差が残るため、 出店予定地のリストを持って、主たる拠点の保健所に相談するのが実務です。 イベント出店では主催者経由の臨時営業の枠組みが使われる場合もあります。
4. メニューと衛生設計の勘所
- 提供直前加熱の原則:車内は温度管理環境が弱い。加熱して即提供するメニューが衛生的に強い
- 生もの・半生の回避:刺身や生クリーム系は移動営業のリスクと相性が悪い
- 夏場の保冷:食材の保冷力は発電機とクーラーボックスの設計次第。積み込みから販売終了までの温度を通しで考える
- 手洗いの実効性:狭い車内でも手洗いを省略しない動線を作る
販売時にアレルゲンを聞かれる場面も多いため、 メニュー別のアレルゲン一覧を車内に備えておくと接客が安定します。 一覧表の作り方は飲食店のアレルゲン一覧表の作り方をご参照ください。
よくある質問
Q. 車両の改造費用はどのくらいかかりますか?
A. ベース車両と設備次第で、中古軽トラベースの簡易仕様から 本格仕様まで数十万〜数百万円の幅があります。 タンク容量と業態の対応を決めてから見積もると無駄がありません。
Q. キッチンカーで作った焼き菓子を袋詰め販売できますか?
A. 車内製造の許可範囲と包装販売の扱いは自治体判断が分かれる領域です。 包装菓子の販売を軸にするなら、菓子製造業の許可施設で製造し 車では販売のみ、という構成が確実です。
まとめ
キッチンカーの制度設計は「水の量=営業の範囲」という原則に集約されます。 タンク容量と仕込み場所の構成を最初に決め、 出店予定地の広がりに合わせて許可の範囲を確認する。 車両への投資判断の前に、この制度の骨格を押さえてください。
制度全体は食品の営業許可制度(2021年改正)の解説をご参照ください。
参照法令: 食品衛生法(2021年6月施行改正)、各自治体の運用
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