食品衛生法の営業許可・届出制度【2021年改正】


この記事でわかること(3点)

  • • 2021年6月施行の食品衛生法改正で何が変わったか
  • • 営業許可と営業届出の違い、どちらが自分に必要か
  • • HACCPの義務化と許可、届出との関係

2021年6月の食品衛生法改正:何が変わったか

食品衛生法は2018年に大幅な改正が行われ、その改正内容は段階的に施行されました。 なかでも、2021年6月1日施行の改正では 営業許可制度の大幅な見直しと、新たな「営業届出制度」の創設が行われました。

改正前は都道府県ごとの条例に基づき許可業種が決まっていましたが、 改正後は国が統一的な営業許可業種(32業種)を定め、 それ以外の食品取扱業には新設の届出制度を適用する形に整理されました。

改正の背景:食品をめぐる環境の変化(輸入食品の増加、ネット販売の拡大等)や、 HACCPの国際標準化に対応するため、2018年に15年ぶりの大規模改正が実施されました。 2021年6月の施行はその一部です。

1. 改正後の3区分:許可・届出・届出不要

改正後の食品衛生法では、食品取扱業者の手続きを 「営業許可が必要」「届出が必要」「どちらも不要」の3区分に整理しました。

区分対象申請先
営業許可(32業種)リスクが高い食品を扱う業種(菓子製造業・食肉販売業・飲食店営業等)都道府県等の保健所
営業届出許可業種・届出不要業種以外の食品を製造・加工・販売する業者(コーヒー豆の焙煎・野菜のカット販売等)都道府県等の保健所
届出不要食品衛生上のリスクが低いもの(農業・漁業・畜産業の採取・食品の輸送のみ・容器包装に入れない食品の対面販売等)不要

32業種の正確な一覧は厚生労働省の公式サイトまたは管轄保健所でご確認ください。 食品衛生法施行令の改正により業種の区分が変わることがあります。

2. 営業許可が必要な主な業種

改正後の食品衛生法において許可が必要な業種は、国が定める32業種です。 このうち小規模事業者、個人事業主によく関わる業種だけを絞ったのが次の表です。

業種名(例)主な対象食品
飲食店営業料理を提供する飲食店(レストラン・カフェ・居酒屋等)
菓子製造業クッキー・ケーキ・和菓子・パン等の焼き菓子類
食肉販売業精肉・ハム・ソーセージ等の販売
魚介類販売業鮮魚・刺身等の販売
そうざい製造業弁当・惣菜・煮物・揚げ物等の製造販売
乳類販売業牛乳・乳飲料等の販売
食品の冷凍・冷蔵業食品の冷凍・冷蔵を業とするもの

上記はあくまでも代表例です。 自分の事業が許可業種に該当するかどうかは、 管轄保健所に確認してください。

3. 新設された「営業届出制度」

2021年の改正で新たに創設されたのが営業届出制度です。 これは「許可が必要な32業種でも、届出不要な業種でもない」 食品取扱業者に適用されます。

実際に対象となるのは、次のような業者です。

  • コーヒー豆の焙煎(飲食店営業に該当しない場合)
  • 野菜・果物のカット・袋詰め販売
  • 農産物の加工(乾燥・粉砕等)
  • 容器包装済み食品のみを扱う通信販売業者
  • 冷凍食品の販売のみ(製造なし)

届出は保健所への書類提出のみで完結し、 施設検査は原則として行われません。 ただし、届出後も食品衛生法の衛生基準を遵守する義務は変わりません。

届出の方法

届出は、国が提供する食品衛生申請等システム(オンライン)または 管轄保健所の窓口への書類提出で行います。 事業開始の前に届出を済ませることが必要です。

4. 許可と届出の主な違い

比較項目営業許可営業届出
施設基準の審査保健所の施設検査あり(事前確認)原則なし
申請先都道府県等の保健所保健所(またはオンライン)
食品衛生責任者設置が必要設置が必要(許可業種と同様)
有効期限期限あり(更新手続きが必要)期限なし(廃業時に届出)
審査料審査手数料がかかる(自治体で異なる)手数料なし
対象業種食品衛生法施行令が定める32業種許可業種・届出不要以外の業種

5. HACCPの義務化との関係

2021年6月の施行と同時に、HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理も すべての食品取扱業者に義務化されました。 許可、届出の区分に関わらず、食品を扱うすべての事業者が対象です。

HACCPの義務化は規模によって2段階に分かれています。

区分対象内容
HACCPに基づく衛生管理大規模事業者(一定規模以上)コーデックス委員会のHACCP7原則に基づく衛生管理計画の策定・記録
HACCPの考え方を取り入れた衛生管理小規模事業者・一定の業種業界団体が作成した「手引書」に基づく簡略化した衛生管理計画と記録

HACCPの詳しい対応方法についてはHACCP義務化と小規模事業者の対応|考え方と進め方をご覧ください。

どの手続きが必要か判断するフロー

Q1. 食品を製造、加工、販売する事業か?

→ いいえ:食品の輸送のみ、農業、採取業 → 届出不要

→ はい:Q2へ

Q2. 食品衛生法施行令が定める許可業種(32業種)に該当するか?

→ はい:営業許可の申請が必要

→ いいえ:Q3へ

Q3. 届出不要業種(農業、採取等)に該当するか?

→ はい:届出不要

→ いいえ:営業届出が必要

フローはあくまでも目安です。具体的な判断は管轄保健所にご確認ください。

まとめ

2021年6月の食品衛生法改正により、営業許可業種が国の統一基準(32業種)に再編され、 それ以外の食品取扱業者には新たな届出制度が適用されるようになりました。 同時にHACCPに沿った衛生管理もすべての事業者に義務化されています。

「自分の事業が許可か届出か」の判断は保健所に直接相談するのが最も確実です。 菓子製造業の許可手続きの詳細は菓子製造業許可の取り方【2026年】申請手順・設備要件・費用もご覧ください。


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