営業届出制度|許可不要でも届出は必要という2021年の新ルール
この記事の要点(3点)
- ・ 2021年6月から食品営業は「許可業種」「届出業種」「届出不要」の3層構造になった。「許可がいらない=何もしなくていい」ではない
- ・ 届出業種の例: 乾物や包装食品の販売、コーヒー焙煎(自治体区分による)、農産物の簡易加工等。届出には手数料も更新もない
- ・ 届出事業者にもHACCPに沿った衛生管理と食品衛生責任者の設置は義務。届出は「軽い許可」ではなく衛生管理義務への入口
根拠: 食品衛生法(2021年6月施行の改正)
1. 3層構造を理解する
2021年6月施行の改正食品衛生法は、食品営業を3つの層に再編しました。
| 区分 | 手続き | 代表例 |
|---|---|---|
| 許可業種(32業種) | 施設基準審査+実地確認+許可(更新あり) | 飲食店営業、菓子製造業、そうざい製造業等 |
| 届出業種 | 届出のみ(手数料なし、更新なし) | 包装食品の販売業、乾物製造、コーヒー製造(焙煎)等 |
| 届出不要 | なし | 農家の採取・出荷(農業の範囲)、常温保存可能な包装食品のみの通信販売等の一部 |
この改正で、旧制度では「許可も何もいらなかった」業態の多くが 届出業種に位置づけられました。 乾物屋も茶葉の小分けも、制度の外にいるのではなく 「届け出て衛生管理義務を負う事業者」として制度の中に入りました。
2. 届出の実務
届出は、厚生労働省の食品衛生申請等システム(オンライン)または 保健所窓口で行います。 施設の所在地、営業の種類、食品衛生責任者等を届け出るだけで、 施設基準の審査や実地確認はなく、手数料も更新もありません。
ただし「審査がない=基準がない」ではありません。 届出事業者にもHACCPに沿った衛生管理(小規模なら手引書ベースの計画と記録)と食品衛生責任者の設置が義務づけられています。 責任者の取得は食品衛生責任者の資格取得をご参照ください。
3. 自分がどの層かを見極める
小規模事業でよくある業態の目安を挙げます(最終判断は管轄保健所)。
- コーヒー豆の焙煎販売:届出(コーヒー製造・加工業等の区分)が多い。 液体加工に進むと許可の世界。コーヒー豆の表示参照
- 茶葉、乾物、スパイスの小分け:届出区分が多い(自治体差あり)
- 仕入れた包装菓子の小売:販売業として届出
- 手作り菓子の製造販売:菓子製造業の許可(届出では不可)
- 常温の包装食品だけを扱うECの発送拠点:届出不要に当たる場合があるが、 保管温度管理が関わると届出対象。要確認
迷ったら「私の業態はどの区分ですか」と保健所に聞くのが最短です。 制度の全体像は食品の営業許可制度(2021年改正)の解説で扱っています。
4. 届出を怠るとどうなるか
届出義務違反には罰則(過料等)の定めがあります。 それ以上に実務で効くのは、取引と販路の場面です。 モールへの出店審査、卸先との取引開始、イベント出店の申し込みで 「営業許可証または届出番号」の提示を求められることが増えており、 届出をしていないと商談自体が進みません。 コストゼロで済む手続きを後回しにする理由はありません。 開業準備の初日に済ませてください。
よくある質問
Q. 届出だけの業態でも保健所の立入はありますか?
A. あります。届出事業者も監視指導の対象であり、 衛生管理計画と記録の確認を受けることがあります。 「届出だから見られない」という理解は誤りです。
Q. 業態を変えたら届出はどうなりますか?
A. 届出内容の変更手続きが必要です。届出業種から許可業種への進出 (小分け販売から製造へ等)では、改めて許可の取得が必要になります。
まとめ
営業届出制度は、「許可の要らない食品事業」を制度の中に取り込んだ仕組みです。 手続きは軽く、義務(HACCP+責任者)は本物。 自分の業態がどの層かを保健所で確定させ、 コストゼロの届出を開業初日に済ませることが、 販路と信用の土台になります。
乾物系の届出業態の表示は乾物・干物の食品表示ラベルの書き方をご参照ください。
参照法令: 食品衛生法(2021年6月施行改正)、食品衛生法施行令
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