栄養成分表示の義務化と免除規定|小規模事業者の例外条件
この記事の要点(3点)
- ・ 容器包装に入れられた加工食品は熱量・たんぱく質・脂質・炭水化物・食塩相当量の5成分表示が原則義務
- ・ 小規模事業者(食品関連事業者のうち相当小規模なもの)は免除規定あり。ただし「努力義務」にとどまる
- ・ 極小面積、極短期間販売、現地製造現地販売、店頭対面販売等の場合にも免除や緩和規定がある
根拠: 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)第3条・第7条、消費者庁「食品表示基準Q&A」
1. 栄養成分表示の義務:5成分の基本
「うちは小さい店だから、栄養成分表示までは関係ないだろう」。そう考えている事業者は少なくありません。 しかし実際には、多くの加工食品にこの表示が義務付けられています。 2015年4月施行の食品表示法・食品表示基準により、容器包装に入れられた加工食品(および添加物)への 栄養成分表示が義務化されました(経過措置期間を経て2020年4月1日より完全義務化)。
義務表示の対象となる栄養成分は以下の5成分です(食品表示基準第3条第1項)。
| 義務表示成分 | 表示単位 | 備考 |
|---|---|---|
| 熱量(エネルギー) | kcal | カロリーとも表示可 |
| たんぱく質 | g | |
| 脂質 | g | |
| 炭水化物 | g | 糖質+食物繊維の合計。別々表示も可 |
| 食塩相当量 | g | ナトリウム量×2.54で換算 |
表示は「1食分」「100g当たり」「1包装当たり」等の単位で行い、 単位は表示する内容量の単位と合わせることが求められます(食品表示基準Q&A)。 複数の単位で表示することも可能です。
2. 任意表示できる栄養成分
上記5成分に加えて、以下の成分は任意(事業者が希望する場合のみ)で表示できます(食品表示基準第3条第2項)。 ただし表示する場合は適正な値であることが必要です。
| カテゴリ | 任意表示できる主な成分(例) |
|---|---|
| 炭水化物の内訳 | 糖質、糖類、食物繊維 |
| 脂質の内訳 | 飽和脂肪酸、n-3系脂肪酸、n-6系脂肪酸、トランス脂肪酸、コレステロール |
| ビタミン類 | ビタミンA・B1・B2・C・D・E・B6・B12・K、ナイアシン、葉酸、パントテン酸、ビオチン |
| ミネラル類 | 亜鉛、カリウム、カルシウム、クロム、セレン、鉄、銅、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ヨウ素、リン |
※ 任意成分の詳細は食品表示基準 別表第9を参照してください。
3. 義務が免除される条件
食品表示基準第7条では、栄養成分表示が免除(義務から努力義務に緩和)される条件を定めています。 ただし「免除」であっても任意で表示することは可能であり、積極的に表示することを消費者庁は推奨しています。
免除条件1:小規模事業者
「食品関連事業者のうち相当小規模なもの」として消費者庁が定める要件を満たす事業者は免除対象です。
小規模事業者の具体的要件
栄養成分表示が免除される小規模事業者とは、中小企業基本法第2条第5項の小規模企業者に該当する者(製造業・その他は常時使用する従業員20人以下、商業・サービス業は5人以下)です。 直接消費者に販売する場合等も対象となる場合があります。 適用の可否は管轄保健所または消費者庁に確認することを推奨します。
出典: 消費者庁 小規模事業者の栄養成分表示省略
免除対象の小規模事業者であっても、義務表示の代わりに努力義務として表示が促されます。 可能な範囲での表示が消費者へのサービス向上につながります。
免除条件2:表示可能面積が極めて小さい場合
容器包装の表示可能面積がおおむね30cm²以下の場合は、栄養成分表示が免除されます (食品表示基準第7条第1号)。 極小の個包装や小さい容器では、物理的に5成分表示を収めることが困難なため設けられた規定です。
免除条件3:極めて短い期間で消費される食品
製造・加工・調理してからごく短期間で消費される食品(消費者庁Q&Aで要件が示されています)は免除対象とされています。 日々変わるメニューで提供される食品等が想定されます。
免除条件4:店頭対面販売・現地製造現地販売
食品を製造・加工した場所の同一施設内で対面販売する場合(いわゆるインストア加工や店内製造の店頭販売)は、 容器包装に入れた場合でも一部表示義務の緩和規定が適用されます。 ただしこれは「インストア加工」の範疇に限られ、量産品をパッキングして販売する場合は通常通り義務が発生します。 詳細についてはインストア加工と対面販売・容器包装の表示義務の違いで詳しく解説しています。
4. 栄養成分値の算出方法
栄養成分値は以下のいずれかの方法で算出します。
| 算出方法 | 内容 | コスト、精度 |
|---|---|---|
| 成分データベースによる計算 | 文部科学省「日本食品標準成分表」を使い、各原材料の使用量から比例計算 | 低コスト、成分表に掲載のある食品に限る |
| 原材料メーカーのデータ活用 | 仕入れ先メーカーから栄養成分規格書を入手し積算 | 中コスト、規格書取得が必要 |
| 食品分析機関への依頼 | 公的または民間の食品分析機関で実際の製品を検査 | 高コスト、最も精度が高い |
栄養成分の計算詳細については栄養成分表示の計算方法:食品成分データベースを使った正確な算出手順で詳しく解説しています。
5. よくある誤解
誤解1:「小さいお店だから義務がない」
小規模事業者の免除は「相当小規模なもの」に限定されており、 規模が小さければ全て免除されるわけではありません。 販売チャネルがECや卸、テイクアウトの場合は免除要件を慎重に確認する必要があります。
誤解2:「自社製品をコンビニに卸しているが、コンビニが表示するから自分は不要」
食品関連事業者(製造や販売を行う事業者)が容器包装に入れた加工食品を販売する場合、 原則として表示義務は当該食品関連事業者にあります。 販売先(小売業者)との契約で誰が表示するかを定めることはありますが、 法令上の義務の所在は消費者庁Q&A等で確認が必要です。
まとめ
容器包装に入れられた加工食品への栄養成分表示(熱量・たんぱく質・脂質・炭水化物・食塩相当量の5成分)は義務です。 ただし小規模事業者、極小面積、短期販売、現地対面販売等の免除規定があります。 「うちは小さい店だから関係ない」がそのまま通用するのは、この免除規定に該当する場合だけです。 免除に該当するかどうかは食品表示基準第7条と消費者庁Q&Aで確認し、疑問があれば管轄保健所に相談することを推奨します。
免除対象であっても、消費者への情報提供として積極的な栄養成分表示が推奨されています。
参照法令: 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)第3条・第7条・別表第9、 消費者庁「食品表示基準Q&A」
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