糖質・糖類・炭水化物の違い|表示と訴求で混同しやすい3つの言葉
この記事の要点(3点)
- ・ 炭水化物 ⊃ 糖質 ⊃ 糖類という包含関係。炭水化物=糖質+食物繊維、糖質の中に糖類(単糖類と二糖類)がある
- ・ 「糖類ゼロ」と「糖質ゼロ」は別の主張。糖類ゼロでもでんぷんや糖アルコールの糖質は含み得る
- ・ ロカボ系訴求(低糖質)は公的な基準値がない民間の概念。糖類の強調(無糖等)には食品表示基準の基準がある
根拠: 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)
1. 3つの言葉の包含関係
糖質制限ブーム以来、「糖質」「糖類」「炭水化物」は 日常語として飛び交っていますが、表示制度上は明確な包含関係があります。
炭水化物 = 糖質 + 食物繊維
糖質 = 糖類(単糖類・二糖類) + でんぷん等 + 糖アルコール等
糖類は最も狭い概念で、ブドウ糖や果糖(単糖類)、 砂糖や乳糖(二糖類)を指します。糖質はこれにでんぷんや糖アルコール(キシリトール等)を加えた広い概念、炭水化物はさらに食物繊維まで含む最も広い概念です。 この関係を押さえると、市場の「ゼロ」表示が読み解けるようになります。
2. 「糖類ゼロ」と「糖質ゼロ」は別物
缶チューハイや菓子の売り場に並ぶ「糖類ゼロ」と「糖質ゼロ」。 この2つは異なる主張です。
- 糖類ゼロ:単糖類と二糖類が基準値未満。 でんぷんや糖アルコール由来の糖質は含まれ得る。 「糖類ゼロなのに炭水化物が多い」商品は普通に存在する
- 糖質ゼロ:糖質全体が基準値未満。糖類ゼロより強い主張
「ゼロ」と表示できる基準は食品表示基準で定められており、 糖類なら食品100g当たり0.5g未満(飲料は100ml当たり0.5g未満)です。 完全にゼロでなくても基準未満なら「ゼロ」「ノン」「レス」等を名乗れる、 という構造は熱量やナトリウムのゼロ表示と同じです。 強調表示の全体像は栄養強調表示のルールをご参照ください。
3. 「低糖質」に公的基準はない
ここで意外な事実があります。 糖類の強調(無糖、糖類ゼロ、糖類控えめ)には食品表示基準の基準値がある一方、「糖質」の低減強調(低糖質、糖質オフ)には公的な基準値が定められていません。 ロカボ(適正糖質)の数値目安は民間団体の提唱する概念です。
基準がないことは自由を意味しません。 「糖質50%オフ」のような相対表示なら比較対象と根拠の明示が必要で、 実際の含有量と乖離した訴求は景品表示法の優良誤認になります。 糖質量を訴求するなら、炭水化物と食物繊維の計算から糖質量を算出し、 その数値を根拠として持ってください。 計算の枠組みは食物繊維の表示で解説した内訳表示と同じです。
4. 表示実務での使い分け
- 義務表示は炭水化物:栄養成分表示の義務5項目に入るのは炭水化物。糖質と糖類は任意の内訳表示
- 糖質を書くなら食物繊維とセット:「炭水化物(糖質、食物繊維)」の内訳様式で書く
- 糖類を書く位置:糖質のさらに内訳として「糖質〇g(糖類〇g)」の形が使われる
- 訴求語の選択:裏付けられる基準がある語(糖類ゼロ等)を優先し、基準のない語(低糖質)は数値の事実表示とセットにする
よくある質問
Q. 「砂糖不使用」と「無糖」は同じ意味ですか?
A. 違います。砂糖不使用は砂糖を加えていないという製法の事実で、 果物由来の糖類等は含み得ます。無糖は糖類が基準値未満という含有量の主張です。 砂糖不使用なのに糖類たっぷりの商品で「無糖」的な印象を作ると誤認を招きます。
Q. 糖アルコール(キシリトール等)は糖類に入りますか?
A. 入りません。糖アルコールは糖類(単糖類・二糖類)ではなく糖質の一部として扱われます。 糖類ゼロ表示の商品が甘いのは、糖アルコールや高甘味度甘味料によるものです。
まとめ
炭水化物、糖質、糖類の包含関係を押さえれば、 「糖類ゼロと糖質ゼロの違い」「砂糖不使用と無糖の違い」が正確に扱えるようになります。 基準のある語は基準を満たして使い、基準のない語は数値の事実とセットで使う。 糖質系の訴求はこの規律で設計してください。
栄養成分表示の基本は栄養成分表示の計算方法をご参照ください。
参照法令: 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)
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