ドリンクの原価率|飲食店の利益はグラスの中にある
この記事の要点(3点)
- ・ ドリンクの原価率はソフトドリンク・サワー系で10%台、生ビールで20〜30%程度と、フードより大幅に低い。飲食店の利益の柱
- ・ ドリンク比率(売上に占めるドリンクの割合)を数%上げるだけで店全体の利益は大きく変わる。杯数を伸ばす運用が最良の利益改善
- ・ シロップ・果汁・氷・グラスロスまで含めた一杯あたりの積算で、感覚でなく数字の原価表を持つ
※ 数値は一般的な目安です。仕入れと業態により変わります。
1. なぜドリンクは利益の柱なのか
ウーロン茶一杯の材料原価は、業務用茶葉やペット原液から作れば 数円〜十数円。販売価格300〜400円に対する原価率は数%です。 サワー・ハイボールも焼酎やウイスキーの一杯分原価は低く、 炭酸と割り材を含めても10%台に収まります。 フードの30%前後と比べたとき、 「同じ1000円の売上でも、ドリンクの1000円は粗利が3割多い」 という構造が見えてきます。
この構造ゆえに、飲食店の利益改善で最も効くのは 「フード原価を削る」ことではなく「ドリンクをもう一杯出す」ことです。 ドリンク比率の実測(POSで集計)から始めてください。
2. 一杯あたりの原価積算
ドリンク原価表は次の要素の積算で作ります。
- 主材料:酒(ボトル単価÷杯数)、原液、茶葉、コーヒー豆
- 割り材:炭酸、ジュース、トニック。缶・瓶のロス(開けて使い切らない分)も考慮
- 副材料:レモン、ミント、シロップ、ガムシロ・ミルク
- 氷:製氷機の水道光熱費または購入氷。ロックグラスの大きな氷は意外なコスト
- 消耗品:ストロー、コースター、テイクアウトならカップ・蓋
ポーション(注ぎ量)の統一が原価表の前提になることはバーの原価管理で扱った通りです。 生ビールの樽ロスの実務は居酒屋の原価管理をご参照ください。
3. 杯数を伸ばす運用の技術
- ファーストドリンクの速度:着席から一杯目までの時間が短い店は、総杯数が伸びる。定番の実感則
- おかわりの声かけ:グラス残量2割での「お次いかがですか」を接客の標準動作にする
- フードとのペアリング提案:塩気・辛味・揚げ物とドリンクの相性をメニューで示す
- ノンアル・ソフトの充実:飲まない客・運転者・妊娠中の方の「2杯目」を作る。 クラフトコーラ、モクテルは客単価も取れる成長分野
- 季節・限定ドリンク:原価率よりも「もう一杯の理由」として設計する
4. カフェ業態のドリンク原価
カフェのコーヒーは豆代・ミルク・カップで構成され、 スペシャルティ豆でも原価率は20%前後に収まりやすい商品です。 ただしカフェの本当のコストは滞在時間(席の占有)にあるため、 原価率の低さに安心せず、席あたり売上とセットで見る必要があります。 この論点はカフェの原価設計で詳しく扱っています。 ラテ系のミルク使用量(1杯150〜200ml)は コーヒー系原価の主役であり、ミルクの廃棄管理が地味に効きます。 オーツミルク等の植物性ミルクへの変更オプションは、 追加料金設定(+50〜80円等)で原価差を吸収しつつ 客層を広げる設計が定着しています。
よくある質問
Q. ドリンク比率はどのくらいを目指すべきですか?
A. 業態によりますが、居酒屋・バルなら売上の30〜40%が一つの目安です。 まず自店の現状をPOSで実測し、月次で追いかけることから始めてください。
Q. 高い酒を置くと原価率が上がるのでは?
A. 原価率は上がっても1杯あたりの粗利額は増えることが多く、 品揃えの魅力が客単価を押し上げます。原価率でなく粗利額で評価してください。 詳しくは原価率と粗利率の違いをご参照ください。
まとめ
ドリンクは飲食店で最も粗利率の高い商品群です。 一杯あたりの積算原価表を作り、ポーションを統一し、 杯数を伸ばす接客の標準動作を仕組みにする。 フード原価を1%削る努力より、ドリンク比率を1%上げる運用の方が、 多くの店で利益に効きます。
客単価全体の設計は客単価アップの考え方をご参照ください。
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