EC販売でのアレルゲン情報提供|商品ページと現物ラベルの二重管理
この記事の要点(3点)
- ・ ECで届く商品の現物には通常通り一括表示が必要。加えて、購入判断の時点で見える商品ページのアレルゲン情報が実務上の生命線になる
- ・ 現物ラベルと商品ページの二重管理が最大のリスク。レシピ変更時にページ側の更新が漏れる事故が典型
- ・ ギフト需要では注文者と喫食者が別人。届いた現物の表示だけが喫食者を守る情報になる
根拠: 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)、景品表示法
1. ECでは「見てから買う」が成立しない
店頭販売なら、消費者は手に取ってラベルを確認してから買えます。 ECではこの確認が構造的にできません。 現物の一括表示は届いてからしか見えず、 購入判断の時点で頼れるのは商品ページの記載だけです。
食品表示基準の義務は容器包装への表示であり、 ECの商品ページへのアレルゲン表示は現行制度では義務化されていません (インターネット販売における情報提供のあり方は消費者庁で継続的に検討されてきた論点です)。 しかし義務の有無と実務の要請は別です。 アレルギー患者とその家族は、アレルゲン情報のない商品ページからは買えません。 ページへの記載は、安全配慮であると同時に販売機会の問題でもあります。
2. 商品ページに書くべき内容
- 原材料名の全文:現物の一括表示と同じ内容を転記する。抜粋や要約は事故の元
- アレルゲンの明示:「(一部に小麦、卵、乳成分を含む)」を原材料名とセットで
- コンタミ情報:「本品製造工場では〇〇を含む製品を製造しています」を使っている場合は同じく転記
- 更新日:「原材料情報は〇年〇月時点。リニューアル等で変わる場合があります。最新はお手元の商品表示をご確認ください」の注記
最後の注記は重要です。ページ情報と現物の間には構造的なタイムラグがあり得るため、 最終確認は現物表示であることを明示しておくのが誠実な設計です。 現物の一括表示の作り方は食品表示ラベルの作り方をご参照ください。
3. 二重管理を破綻させない仕組み
EC事業者の表示事故で典型的なのは、 レシピや仕入れの変更で現物ラベルは更新したのに、 商品ページの更新が漏れるパターンです。 モール(楽天、Amazon等)と自社サイトの複数店舗展開では、 更新箇所が増えるほど漏れの確率が上がります。
- 更新箇所の台帳化:商品ごとに「表示が存在する場所」(現物ラベル、自社EC、各モール、パンフ)を一覧にする
- 変更フローの一本化:レシピ・仕入れ変更→表示更新→全掲載場所の更新チェック、を一つのフローにする
- マスタからの生成:原材料とアレルゲンの情報を一つのマスタで管理し、ラベルもページも同じマスタから生成する体制が理想
4. ギフトと同梱物の論点
EC食品はギフト需要が大きく、注文者と喫食者が別人であることが常態です。 注文者は商品ページを見ていても、受け取った側は現物しか見ません。 だからこそ現物の一括表示の完全性が最後の砦になります。 詰め合わせギフトでは、外箱と個別商品の表示の役割分担を整理してください。 個包装と外袋の構成の考え方はキャンディ・グミの食品表示ラベルの書き方で扱った省略特例の議論が参考になります。 のしや手紙の同梱で表示ラベルを覆い隠さない、という梱包の注意も 地味ながら実務のポイントです。
よくある質問
Q. 商品ページにアレルゲンを書かないと違法ですか?
A. 現行制度では商品ページへの表示は義務化されていません。 ただし現物には必ず表示が必要で、ページに書いた内容が実物と異なれば 景品表示法等の問題になります。書くなら正確に、が原則です。
Q. 問い合わせ対応はどこまでやるべきですか?
A. 規格書に基づいて含有の事実を答えられる体制を推奨します。 「アレルギー対応可能か」という相談には、事実情報の提供に徹し、 安全の保証はしないという線引きを保ってください。
まとめ
ECのアレルゲン情報は、現物の一括表示と商品ページの二重構造で成り立ちます。 ページへの記載は義務ではなくても購入判断の生命線であり、 二重管理の更新漏れが最大のリスクです。 表示が存在する場所の台帳化と変更フローの一本化で、 ラベルとページの同期を仕組みにしてください。
EC販売の法的義務全般は食品ネット販売の特定商取引法表示をご参照ください。
参照法令: 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)、景品表示法
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