賞味期限と消費期限の違いと決め方|表示方法と設定根拠
この記事の要点(3点)
- ・ 消費期限は安全性の期限(過ぎたら食べてはいけない)。賞味期限は品質保持の期限(過ぎても危険とは限らない)
- ・ 期限の設定は理化学試験・微生物試験・官能試験に安全係数を乗じた科学的根拠に基づく。製造者の責任
- ・ 賞味期限3か月超の場合は年月のみの表示が可能。消費期限は年月日の表示が必須
根拠: 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)第3条、消費者庁「食品期限表示の設定のためのガイドライン」
1. 賞味期限と消費期限の定義
「賞味期限」と「消費期限」は、日常会話ではほとんど同じ意味で使われます。 しかし食品表示基準の上では、この二つは別のルールに従う期限であり、 どちらを選ぶかは食品の特性によって決まります。設定するのは、製造業者、加工業者の責任です(食品表示基準第3条第1項)。
| 項目 | 消費期限 | 賞味期限 |
|---|---|---|
| 定義 | 食べても安全な期限。過ぎたら食べてはいけない | おいしく食べられる品質保持の期限。過ぎても直ちに危険ではない場合がある |
| 対象食品 | 傷みやすい食品(弁当・惣菜・生菓子・鮮魚等) | 品質劣化が比較的緩やかな食品(スナック・缶詰・乳製品・カップ麺等) |
| 期限の目安 | おおむね5日以内が多い | 5日を超えるものが多い(長期保存品は数年になる場合も) |
| 表示形式 | 年月日(必須) | 年月日(3か月以内)または年月(3か月超で可) |
2. 期限の表示形式と記載ルール
期限の表示形式は、消費期限か賞味期限かだけでなく、賞味期間の長さによっても変わります。
消費期限の表示形式
消費期限は必ず年月日で表示します。
消費期限 26.06.19
消費期限 2026年6月19日
消費期限 2026/06/19
西暦と和暦のどちらでも可。区切り文字は「.」「/」「年月日」のいずれも使用できます。
賞味期限の表示形式
賞味期限は期限が3か月以内の場合は年月日表示、3か月超の場合は年月のみの表示が可です。
賞味期限 26.06.19(3か月以内の場合)
賞味期限 2026年6月(3か月超の場合、年月のみ可)
年月のみ表示する場合、当該月の末日が賞味期限となります。消費者が明確に認識できる形式であることが条件です。
表示位置と「要冷蔵」等の付記
期限は容器包装の見やすい場所に表示します。冷蔵・冷凍保存が条件の場合は 「要冷蔵(10℃以下)」「要冷凍(-18℃以下)」等の保存方法も併記が必要です(食品表示基準第3条)。 開封後の期限が異なる場合は「開封後は〇日以内にお召し上がりください」等の注記を加えることが推奨されます。
3. 期限設定の科学的根拠と安全係数
食品の期限は感覚や慣行だけで決めることは許されません。消費者庁の「食品期限表示の設定のためのガイドライン」では、 試験・検査に基づく科学的根拠をもとに設定することを求めています。
3種類の試験
| 試験の種類 | 内容 | 測定・評価対象 |
|---|---|---|
| 理化学試験 | pH・水分活性・酸価・過酸化物価・塩分等を測定 | 腐敗・酸化・変色等の化学的変化 |
| 微生物試験 | 一般生菌数・大腸菌群・食中毒菌等を検査 | 食中毒リスク・腐敗菌の繁殖状況 |
| 官能試験 | 味・香り・外観・食感を専門パネルが評価 | 品質劣化・風味変化・消費者受容性 |
安全係数
試験で得られた「品質保持可能期間」に対して、安全係数を乗じた値を賞味期限として設定することが「食品期限表示の設定のためのガイドライン」で示されています。 これは製造時のばらつきや流通・保管条件の変動を考慮するためです。 令和7年3月の同ガイドライン改訂では、過度に低い安全係数の設定を是正する趣旨から、安全係数は0.8以上を目安とする方向性が示されている点に注意が必要です。
計算例(仮例)
- 試験で確認できた品質保持期間:100日
- 安全係数:0.8
- 賞味期限の設定値:100日 × 0.8 = 80日
※ 安全係数の具体値は食品の種類・製造方法・流通条件によって異なります。ガイドラインを参照の上、検査機関に相談して設定してください。
消費期限の場合は安全係数による「余裕」を設けることは本来想定されていません。 試験で安全が確認できる最終日(またはそれ以前)を設定します。
4. よくある誤りと実務ポイント
よくある誤り1:慣行・感覚での期限設定
「他社が3日だから3日にする」「なんとなく短めに設定しておけば安心」といった設定は根拠になりません。 食品事故・食中毒が発生した場合、期限設定の根拠を行政に説明できる必要があります。 試験実施や検査機関への依頼が困難な場合は、同種食品の先行研究・文献を参照することも一つの方法ですが、 自社製品の固有条件(水分量・pH・製法等)が異なれば適用できません。
よくある誤り2:「賞味期限」と「消費期限」の混用
傷みやすい食品(弁当・惣菜等)に「賞味期限」を記載することは不適切です。 逆に、缶詰や乾物に「消費期限」を記載することも一般的ではありません。 食品の特性に基づいて正しく使い分けることが法令の趣旨です。
実務ポイント:製造記録と試験記録の保管
期限設定の根拠となる試験記録、製造ロットの製造条件記録は、 食品事故発生時や行政の立入調査において証拠となります。 記録は製品の保存期間を超える期間保管することが望ましいとされています。
まとめ
「同じようなもの」に見える二つの期限ですが、消費期限は安全性の期限(年月日必須)、 賞味期限は品質保持の期限(3か月超は年月のみ可)というルールの違いがあります。 その上で、理化学・微生物・官能の3種の試験と安全係数を組み合わせた科学的根拠に基づいて期限を設定することが、製造者の責任です。
食品表示全体の作成手順については食品表示の作り方・ラベル作成手順もあわせてご参照ください。栄養成分表示の計算については栄養成分表示の計算方法ガイドで詳しく解説しています。
参照法令・資料: 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)第3条、 消費者庁「食品期限表示の設定のためのガイドライン」(平成17年2月、令和7年3月改訂)
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