製造者・販売者表示と原料原産地表示のルール
この記事の要点(3点)
- ・ 食品関連事業者(製造者、加工者、輸入者、販売者)の名称と住所の表示は加工食品に義務あり。製造所固有記号の使用条件もある
- ・ 原料原産地表示は2022年4月1日に完全義務化(経過措置は2022年3月31日まで)。重量割合上位の原材料の産地を国別重量順で表示
- ・ 大括り表示(「国産」「輸入」)、または表示(複数国の産地)が認められるケースと条件がある
根拠: 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)第3条、食品表示法、消費者庁「原料原産地表示制度の概要」
1. 食品関連事業者の表示義務
加工食品の容器包装には、その食品を消費者に提供する責任を持つ食品関連事業者の名称(商号)と住所を表示することが義務付けられています (食品表示基準 第3条第1項)。
「作った人の名前を書けばよい」とは限りません。誰を表示するかは食品の販売形態によって異なり、 製造者と販売者が異なる場合(OEMや委託製造)では特に注意が必要です。
| 事業者区分 | 表示項目名 | 表示義務の状況 |
|---|---|---|
| 製造者 | 「製造者」または「加工者」 | 製造した場合は表示。販売者が異なる場合は販売者を表示することも可 |
| 加工者 | 「加工者」 | 加工のみ行う事業者(製造者と加工者の違いは実態による) |
| 輸入者 | 「輸入者」 | 輸入品は輸入者の名称・住所を表示 |
| 販売者 | 「販売者」 | 製造者と販売者が異なる場合に「販売者」として表示可能 |
OEM(受託製造)商品では、ラベルに「販売者:〇〇株式会社」と表示することが一般的です。 この場合、製造者の名称や住所ではなく、 消費者に対して食品を提供する責任を負う販売者の情報を記載します。 ただし、製造所固有記号制度を利用する場合は別途要件があります。
2. 製造所固有記号制度
同一の販売者が複数の製造工場(委託先を含む)で製造した食品を販売する場合、 ラベルに製造工場ごとの住所を毎回記載することは現実的でない場合があります。 そのため、製造所固有記号を使って製造工場を特定できる仕組みが設けられています。
製造所固有記号の使用条件
- 販売者の名称や住所を表示したうえで、製造所の住所の代わりに固有記号を使用できる
- 固有記号を使用する場合は、消費者庁に届出が必要(食品表示法第6条)
- 問い合わせ先(電話番号等)を表示するか、消費者からの問い合わせに応じて製造所情報を開示できる体制が必要
- 固有記号は製造所ごとに異なる番号や記号を割り当てる
表示例
販売者:〇〇食品株式会社 東京都××区△△1-2-3
製造所:記号+L1(問い合わせ先:0120-XXX-XXX)
3. 原料原産地表示制度(2022年完全義務化)
原料原産地表示とは、国内で製造や加工が行われた加工食品について、 使用する原材料の原産地(産地)を表示する制度です。 食品表示基準の改正により、2022年4月1日に完全義務化されました(経過措置は2022年3月31日まで)。
対象となるのは、重量割合が最も高い原材料(第1位の原材料)が農産物、水産物、畜産物の場合に、 その産地を表示することが求められます。
対象範囲と表示の基本原則
| 原材料の種別 | 表示対象 | 基本的な表示方法 |
|---|---|---|
| 農産物 | 重量割合1位の原材料が農産物 | 国別重量順(例:「アメリカ産・カナダ産」) |
| 水産物 | 重量割合1位の原材料が水産物 | 国別重量順(例:「チリ産・ノルウェー産」) |
| 畜産物 | 重量割合1位の原材料が畜産物 | 国別重量順(例:「オーストラリア産・国産」) |
4. 大括り表示と「または表示」が認められるケース
産地が複数国にまたがる場合や、産地が調達状況によって変わる場合の実務的な対応として、 食品表示基準では「大括り表示」と「または表示」が認められています。
大括り表示
複数国の農産物等を使用する場合に、国名を個別に列挙する代わりに、 「国産」「輸入」などのより広い区分でまとめて表示することができます。 ただし、重量割合の高い順に表示する原則は維持されます。
個別表示:「アメリカ産・カナダ産・オーストラリア産」
大括り表示:「輸入」
大括り混在:「国産・輸入」(国産の方が重量割合が高い場合)
または表示(産地が変動する場合)
調達状況等によって産地が変動する場合は、使用可能性のある産地を 「または」でつなぎ、重量割合の高いものから順に表示することが認められています。 ただし、表示した産地以外のものが使用された場合は不正表示となるため、 使用した実績のある産地のみを表示する必要があります。
または表示例:「アメリカ産または国産(重量割合の高いものを前に記載)」
大括り+または:「国産または輸入」
または表示は、過去の一定期間における使用実績に基づいて表示します。 「または表示に使用することができる期間」等の要件は消費者庁の原料原産地表示に関するQ&Aを参照してください。 調達先が実際に変更された場合は、表示を速やかに更新することが必要です。
5. よくある誤りと実務ポイント
よくある誤り1:「製造者」と「販売者」が混在し表示が不明確になるケース
製造委託(OEM)の場合、「製造者」「販売者」のどちらを表示すべきか混乱するケースがあります。 製造者の名称や住所を表示するか、販売者の名称や住所を表示するかは、 最終的に食品の品質について責任を持つ事業者(通常は販売者)を明確にして判断します。
よくある誤り2:原料原産地表示の漏れと更新漏れ
原材料の調達先変更時に原料原産地表示を更新しないケースがあります。 特に「または表示」を使用している場合、 実際に使用したことのない産地を表示したままにしてしまうと問題になります。 調達先が変わるたびに、表示を見直すフローをあらかじめ組んでおく必要があります。
実務ポイント:原材料の産地情報をサプライヤーから定期的に収集
原料原産地を正確に表示するためには、 使用する原材料のサプライヤーから産地情報を定期的に収集し、確認することが必要です。 特に産地が変動しやすい農産物や水産物は、ロットごとの産地確認と記録が求められます。
食品表示ラベル全体の義務事項については食品表示の作り方・ラベル作成手順もご確認ください。
まとめ
食品関連事業者(製造者、加工者、輸入者、販売者)の名称や住所の表示は加工食品に義務化されており、 OEM販売では販売者情報の表示と製造所固有記号制度の活用が実務的な対応です。 原料原産地表示は2022年4月1日に完全義務化されており(経過措置は2022年3月31日まで)、重量割合上位の原材料の産地を国別重量順で表示する原則と、 大括り表示や「または表示」といった例外的な表示方法を正確に理解しておく必要があります。
原材料名の記載順序については原材料名の記載順序ルールで詳しく解説しています。
参照法令: 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)第3条・別表第19、食品表示法(平成25年法律第70号)第6条、 消費者庁「原料原産地表示制度の概要」「原料原産地表示制度に関するQ&A」
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