原材料名の記載順序ルール|重量割合の多い順と添加物の区分方法


この記事の要点(3点)

  • ・ 原材料名は製品への原材料重量割合が多い順(降順)に表示する義務がある
  • ・ 原材料と添加物はスラッシュ・改行・別欄のいずれかで明確に区分し、それぞれ重量順
  • ・ 複合原材料(2種以上の原材料でできた原材料)は重量が5%未満でも一定条件下で構成展開が必要

根拠: 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)第3条・別表第19(消費者庁)

1. 原材料名の記載順序の基本ルール

容器包装に入れられた加工食品の原材料名は、製品に占める重量の割合が多い原材料から順(降順)に表示することが義務付けられています(食品表示基準第3条第1項)。 これは消費者が主要な原材料を一見して把握できるようにするためのルールです。

例として、小麦粉45%・砂糖25%・バター15%・卵10%・食塩5%の配合のビスケットでは、 「小麦粉、砂糖、バター、卵、食塩」の順で表示します。

例:ビスケット(仮例)の原材料表示

原材料名:小麦粉(国産)、砂糖、バター(乳成分を含む)、卵、食塩/膨張剤(重曹)、香料

  • ・ スラッシュ「/」より前が原材料(重量順)
  • ・ スラッシュ「/」より後が添加物(重量順)

重量の基準は製品製造に使用する段階の重量です。加熱・乾燥等で水分が飛ぶ場合は調理前の投入重量で判定します。 ただし特定の場合(例:水は加熱で蒸発することが明らかな場合等)については個別の解釈があるため、 不明点は最寄りの保健所や消費者庁Q&Aで確認することを推奨します。

2. 添加物の区分と順序

2020年4月1日以降に製造する加工食品について、原材料と添加物を明確に区別して表示することが完全義務化されました。 区分方法は以下の3種類が認められています。

区分方法具体例特徴
スラッシュ(/)小麦粉、砂糖、植物油脂/乳化剤、膨張剤最も一般的。1行で収まりコンパクト
改行小麦粉、砂糖、植物油脂(改行後)乳化剤、膨張剤原材料が多い場合に読みやすい
別欄設置「原材料名」と「添加物」を別欄に分けて表示表示スペースが確保できる場合に明瞭

添加物の区分内においても、添加物同士を重量の多い順に表示します。 ただし、複数の添加物を一括名(膨張剤・乳化剤等)でまとめて表示する場合は、一括名として1つのまとまりになります。

3. 複合原材料の表示ルール

複合原材料とは、2種以上の原材料(または添加物)から構成される原材料のことです。 例えば「醤油」「マヨネーズ」「マーガリン」「だしの素」などが代表的な複合原材料です。

複合原材料の重量が製品全体の5%以上の場合

複合原材料が最終製品に占める重量割合が5%以上の場合、原則として複合原材料の構成原材料を展開(分解して個別表示)することが必要です。 ただし、複合原材料の名称を表示した上で、括弧内に構成原材料を表示する方法も認められています。

表示例(だしの素が5%以上の場合・仮例)

方法①(構成展開):かつおエキス、食塩、砂糖、酵母エキス(だしの素の構成原材料を重量順)

方法②(括弧表示):だしの素(かつおエキス、食塩、砂糖)、...

複合原材料の重量が製品全体の5%未満の場合

複合原材料の重量が5%未満の場合は、複合原材料の名称のみで表示することができます(構成原材料を展開しなくてよい)。 ただし、アレルゲンを含む構成原材料は5%未満でも個別のアレルゲン表示が必要です。 5%未満だから省略できると思い込み、原材料名だけを書いて済ませてしまうケースが少なくありません。

5%未満でもアレルゲン表示は省略不可

例:マーガリン(全体の3%・仮例)を使用する場合、原材料名に「マーガリン」と書くだけでは不十分。 マーガリンに含まれる乳成分はアレルゲンのため「マーガリン(乳成分を含む)」と表示する必要があります。

一般的に使用される複合原材料の取り扱い

醤油、みりん、味噌、ケチャップなどの複合原材料は、消費者に広く知られているため、 構成原材料の展開が免除される場合があります(食品表示基準Q&A原材料名-12)。 ただし、これらに含まれるアレルゲン(醤油の小麦等)の表示義務は残ります。

4. 重量順表示の実務上の注意点

投入重量と最終製品中の重量

原材料の重量順は製造に使用する段階の重量(投入重量)で判断します。 乾燥野菜のように水分量が変化する食材でも、基準になるのは乾燥前の投入重量です。 ただし製品の特性によって扱いが変わる場合もあるため、判断に迷うときは個別に確認してください。

同量の場合の取り扱い

複数の原材料が同じ重量の場合、順序は任意で問題ありません。ただし、 実際に重量が等しい場合に限られます。意図的に別の原材料より先に表示して主原材料に見せる行為は不当表示に該当します。

配合記録の保持

重量順の正確性は事業者が立証責任を持ちます。行政の立入調査や問合せに対応できるよう、 製品ごとの配合比率(レシピ・製造記録)を保管しておくことが実務上必須です。 特に原材料価格変動や仕入れ先変更でレシピが変わった場合は、表示の見直しが必要になることがあります。

5. よくある誤りと確認チェックリスト

よくある誤り正しい対応
原材料と添加物を読点(、)だけで並べて区分していないスラッシュ・改行・別欄のいずれかで必ず区分する
複合原材料5%以上なのに構成展開をしていない5%以上は構成原材料を展開するか括弧表示が必要
複合原材料5%未満でアレルゲン表示を省略している5%未満でもアレルゲンは個別表示が必要
重量順ではなく使いやすい順・書きやすい順で記載している必ず配合比率を基に重量の多い順に並べ直す
原材料変更後に表示を更新していない配合変更のたびに表示内容を見直す運用を確立する

確認チェックリスト

  • □ 原材料を配合重量の多い順に並べ直している
  • □ 原材料と添加物をスラッシュ等で明確に区分している
  • □ 添加物も重量の多い順に並んでいる
  • □ 複合原材料5%以上は構成原材料を展開または括弧表示している
  • □ 複合原材料5%未満でもアレルゲン表示が漏れていない
  • □ 配合変更時に表示を更新する運用になっている

まとめ

原材料名の記載順序は「原材料を重量の多い順、スラッシュ等で区分、添加物を重量の多い順」が基本です。 複合原材料の5%ルールは知らずに違反しやすいポイントであり、 5%未満でもアレルゲンを含む構成原材料の表示は省略できない点を特に注意してください。

法令準拠の表示を保てるかどうかは、配合比率が変わるたびに表示を見直す運用体制があるかどうかにかかっています。

食品添加物の表示方式(物質名・用途名・一括名)については食品添加物表示のルール|物質名・用途名併記と一括名表示の基準で詳しく解説しています。アレルゲン表示についてはアレルゲン表示完全ガイドもあわせてご参照ください。

参照法令: 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)第3条・別表第19、食品表示基準Q&A(消費者庁)


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