HACCP計画の作り方|業界手引書を使った最短ルート


この記事の要点(3点)

  • ・ 小規模事業者のHACCP対応の最短ルートは厚労省サイトの業界団体手引書をひな型に使うこと。ゼロから7原則を組む必要はない
  • ・ 計画の骨格はメニューの3分類(非加熱・加熱・加熱後冷却)と温度管理。自店のメニューを分類するだけで重要管理点の大半が決まる
  • ・ 監査で見られるのは計画の美しさではなく記録の継続。毎日1分で書ける様式に落とすことが継続の条件

根拠: 食品衛生法(HACCPに沿った衛生管理の制度化、2021年6月完全施行)

1. 手引書という公式ひな型を使う

HACCPの義務化と聞くと、専門コンサルタントが必要な難物に見えますが、 小規模事業者(食品の取扱いに従事する者が50人未満の事業場等)に求められるのは「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」であり、 その実装手段として業界団体が作成し厚生労働省が確認した手引書が公開されています。

飲食店、パン、菓子、惣菜、漬物と、業種別の手引書が揃っており、 計画のひな型と記録様式まで付いています。 自分の業種の手引書をダウンロードして自店に合わせて埋める。 これが制度が想定する正規の最短ルートです。 制度の全体像は小規模事業者のHACCP対応をご参照ください。

2. メニュー3分類が計画の骨格

飲食店向け手引書の核心は、メニューを加熱の観点で3つに分類することです。

分類管理のポイント
非加熱のまま提供サラダ、刺身、冷菜低温管理と交差汚染の防止
加熱して提供焼き物、揚げ物、炒め物中心部までの十分な加熱の確認
加熱後に冷却(再加熱)カレー、煮物、スープの作り置き急冷(危険温度帯の速やかな通過)と再加熱

自店の全メニューをこの3分類に振り分ければ、 「何をいつ確認するか」という計画の骨格は完成します。 3つ目の分類(加熱後冷却)はウェルシュ菌等の温度帯リスクが集中する 最重要グループであり、大鍋の作り置き文化を持つ店ほど管理の主役になります。

3. 記録は「毎日1分」に設計する

HACCP運用の失敗は、ほぼ全て記録の途絶で起こります。 立派な計画を作っても、記録が3日で止まれば監視指導では 「実施していない」と評価されます。 続く記録の設計原則は簡素化です。

  • チェック式(〇×)を基本にし、数値記入は冷蔵庫温度など最小限にする
  • 1日1枚、1分で書き終わる様式にする(手引書の様式をそのまま使ってよい)
  • 記録のタイミングを既存の業務(開店前チェック、閉店作業)に紐づける
  • 問題があった日の対応(廃棄、再加熱等)を特記欄に書く。この特記こそ監査で価値を持つ

記録はロット管理や回収対応の基盤にもなります。ロット番号と製造所固有記号で扱った製造記録と一体で設計すると二重の手間を防げます。

4. 計画を「生きた文書」にする運用

計画は作って終わりではなく、メニューや工程が変わったら見直します。 新メニューの追加(特に非加熱や作り置きの追加)、 仕入れ形態の変化(冷凍から生鮮へ)、設備の変更は見直しトリガーです。 年1回の定期見直し日を決めておくと、 陳腐化した計画のまま監査を迎える事態を防げます。 見直しの主体は食品衛生責任者です。 責任者の役割は食品衛生責任者の資格取得をご参照ください。

よくある質問

Q. 手引書はどこで入手できますか?

A. 厚生労働省のウェブサイトに業種別の手引書一覧が公開されています。 自分の業種に一致するものがなければ、最も近い業種の手引書をベースに 保健所へ相談してください。

Q. 記録は紙とデジタルのどちらがいいですか?

A. どちらでも認められます。続けやすさが唯一の基準です。 スマホのチェックアプリやスプレッドシートでも、 監査時に提示できれば形式は問われません。

まとめ

HACCP計画づくりは、手引書というひな型、メニュー3分類という骨格、 毎日1分の記録という運用の3点セットで完結します。 難解な理論ではなく「自店の危ない場面を決めて、見て、書く」仕組みです。 作り置きメニューの温度管理を中心に、今日から回し始めてください。

衛生管理全般は保健所の立入検査への備えもあわせてご参照ください。

参照法令: 食品衛生法、厚生労働省「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書」


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