食物繊維の表示|任意表示の位置づけと「たっぷり」の基準


この記事の要点(3点)

  • ・ 食物繊維は義務5項目には入らない任意表示の栄養成分。表示する場合は炭水化物の内訳(糖質と食物繊維)として書く
  • ・ 「食物繊維たっぷり」「豊富」の強調には食品表示基準の含有量基準(100g当たり6g以上等)を満たす必要がある
  • ・ 計算で求める場合、食品成分表の食物繊維データの取り方(分析法の違い)に注意が必要

根拠: 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)

1. 食物繊維は「炭水化物の中」に住んでいる

栄養成分表示の義務5項目は、熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量です。 食物繊維はこの中に見えませんが、実は炭水化物の中に含まれています。 炭水化物=糖質+食物繊維という関係です。

食物繊維を表示したい場合は、炭水化物の内訳として 「炭水化物 20g(糖質 15g、食物繊維 5g)」のような形式で書きます。 食物繊維だけを取り出して単独の行にする書き方は様式に沿いません。 糖質との関係の詳細は糖質・糖類・炭水化物の違いで解説しています。

2. 「たっぷり」と言うための基準

食物繊維の含有を強調する表示には、食品表示基準の基準値があります。

強調の種類表現例基準(食品100g当たり)
高い旨たっぷり、豊富、リッチ6g以上(100kcal当たり3g以上でも可)
含む旨源、供給、含有、入り3g以上(100kcal当たり1.5g以上でも可)

飲料等の液状食品には100ml当たりの別基準があります。 「グラノーラだから食物繊維豊富と書いてよいだろう」という感覚ではなく、 自社配合の計算値が基準を超えることを確認してから使ってください。 基準を満たさないのに強調表示を使えば食品表示基準違反であり、 景品表示法の優良誤認にも問われ得ます。 逆に、基準を満たしているなら数値(「食物繊維6g」等)を併記することで、 強調の説得力と信頼性を同時に高められます。 強調表示の全体像は栄養強調表示のルールをご参照ください。

3. 計算時の注意: 成分表のデータの癖

食物繊維の含有量を計算で出す場合、 日本食品標準成分表の食物繊維データには分析法の変遷という癖があります。 従来のプロスキー変法による値と、 より多くの成分を捕捉するAOAC2011.25法による値が食品によって混在しており、 同じ食品でも収載値の由来で数値が変わることがあります。

実務上は、成分表の最新版の値を一貫して使い、 どの収載値を使ったかを計算根拠として記録しておけば足ります。 強調表示の基準ぎりぎりを狙う場合は、 分析機関での実測を検討してください。 成分表の使い方は食品成分データベースの使い方で解説しています。

4. 機能をうたいたくなったら

「お腹の調子を整える」「腸内環境をサポート」のような機能の表現は、 含有量の強調とは別の世界です。 機能を表示するには、トクホ(難消化性デキストリン等の許可実績がある分野)や 機能性表示食品の枠組みが必要になります。 含有量の事実(食物繊維5g)と機能の主張(お腹の調子)の線を越えないことが、 任意表示の範囲で戦う事業者の規律です。 制度の枠組みは機能性表示食品制度の基礎をご参照ください。

よくある質問

Q. 「レタス〇個分の食物繊維」という表現は使えますか?

A. 換算表現自体は禁止されていませんが、レタスは食物繊維が特に多い野菜ではないため、 多く見せる印象操作と受け取られるリスクがあります。 g数の事実表示を基本に、換算は補助的に使うのが無難です。

Q. 食物繊維を表示したら糖質も必ず書くのですか?

A. 炭水化物の内訳として食物繊維を表示する場合、糖質も併せて表示する様式になります。 内訳を書くなら両方、書かないなら炭水化物のみ、という選択です。

まとめ

食物繊維の表示は、炭水化物の内訳という様式、 強調に必要な含有量基準、成分表データの癖という3点を押さえれば運用できます。 含有量の事実と機能の主張の線を守り、 基準を満たす裏付け計算とセットで訴求してください。

栄養成分表示の基本は栄養成分表示の計算方法をご参照ください。

参照法令: 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)別表(栄養強調表示の基準値)


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