栄養強調表示の基準|「低カロリー」「糖質オフ」「無添加」を名乗る条件
この記事の要点(3点)
- ・ 栄養強調表示には「絶対表示(高い旨・低い旨・無の旨・含む旨)」と「相対表示(強化・低減)」の2種類がある
- ・ 各表示に食品表示基準 別表第12・第13が定める具体的な閾値があり、超えると表示できない(または表示が義務に)
- ・ 「無添加」「不使用」表示は義務表示ではないが消費者庁ガイドラインに従う必要があり、根拠なき表示は景品表示法違反リスクがある
根拠: 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)第7条・別表第12・別表第13、消費者庁「栄養強調表示に関するQ&A」
1. 栄養強調表示とは
「低カロリー」「糖質オフ」といった表示は、単なる宣伝文句に見えるかもしれません。 しかし食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)第7条および別表第12・第13は、 こうした表示を行える条件を具体的な数値で定めています。この仕組みが栄養強調表示です。 食品のパッケージや広告において、特定の栄養成分の量が多い、少ない、含まれないといった情報を 消費者に強調して伝える表示を指します。
基準値を満たさないのに「低カロリー」「糖質オフ」と表示することは、 食品表示法違反(不適切な表示)になる可能性があります。 また、景品表示法の優良誤認表示にも該当するリスクがあります。
| 表示区分 | 表示の意味 | 例 |
|---|---|---|
| 絶対表示(高い旨) | 一定量以上含む | 「高たんぱく」「食物繊維豊富」 |
| 絶対表示(含む旨) | 一定量以上含む(高い旨より低い閾値) | 「たんぱく質含有」「カルシウム入り」 |
| 絶対表示(低い旨) | 一定量以下 | 「低カロリー」「低脂肪」「低糖」 |
| 絶対表示(無の旨) | 実質的に含まない | 「カロリーゼロ」「ノンカロリー」「糖類ゼロ」 |
| 相対表示(強化) | 比較対象より25%以上増加 | 「カルシウム強化」「食物繊維増量」 |
| 相対表示(低減) | 比較対象より25%以上低減 | 「カロリーオフ」「糖質オフ」「塩分カット」 |
2. 絶対表示(低い旨・無の旨)の基準値
最も使用頻度が高い「低い旨」「無の旨」の基準値を示します。 食品表示基準 別表第12に定められている値であり、 この値を超えて(または下回らずに)表示することは違反になります。
低い旨・無の旨の基準値(100gあたり・固体食品の場合)
| 栄養成分 | 低い旨(100gあたり) | 無の旨(100gあたり) |
|---|---|---|
| 熱量(エネルギー) | 40kcal以下 | 5kcal以下 |
| 脂質 | 3g以下 | 0.5g以下 |
| 飽和脂肪酸 | 1.5g以下(エネルギー比10%以下) | 0.1g以下 |
| コレステロール | 20mg以下(脂質1.5g以下の場合) | 5mg以下(脂質1.5g以下の場合) |
| 糖類 | 5g以下 | 0.5g以下 |
| ナトリウム | 120mg以下 | 5mg以下 |
※ 液体食品(飲料等)は100mLあたりの基準が適用されます。固体・液体の区分は食品表示基準 別表第12の備考を参照。 ※ コレステロールの低い旨・無の旨は脂質量の条件が伴います。
「糖質」と「糖類」は別の概念です。「糖類」は単糖・二糖類を指し、「糖質」は炭水化物から食物繊維を引いた値です。 「糖類ゼロ」は糖類が0.5g/100g以下の場合に表示可能ですが、 「糖質ゼロ」「低糖質」等の表示には現行の食品表示基準に明示的な基準値規定がなく、 実質的に糖質の量を根拠として表示することになります(消費者庁のガイドラインを要確認)。
3. 絶対表示(高い旨・含む旨)の基準値
「高たんぱく」「食物繊維豊富」などの「高い旨」「含む旨」の表示にも、 食品表示基準 別表第12に基準値が定められています。
| 栄養成分 | 含む旨(100gあたり) | 高い旨(100gあたり) |
|---|---|---|
| たんぱく質 | 8.5g以上(栄養素等表示基準値の10%以上) | 17.0g以上(栄養素等表示基準値の20%以上) |
| 食物繊維 | 3g以上 | 6g以上 |
| カルシウム | 105mg以上(栄養素等表示基準値の15%以上) | 210mg以上(栄養素等表示基準値の30%以上) |
令和7年3月28日公布・即日施行の食品表示基準の一部改正(内閣府令第26号)により、 たんぱく質、カルシウムを含む一部栄養成分の「栄養素等表示基準値」および「含む旨・高い旨」の基準値が見直されています (経過措置として令和10年(2028年)3月31日までは改正前の基準による表示も可能とされています)。 上表は令和7年3月28日改正後の基準値です。改正前の基準による表示を行う場合の値は、 令和7年3月改正後の食品表示基準別表第12(消費者庁公表資料)で必ずご確認ください。
※ ビタミン・ミネラル類については栄養素等表示基準値の15%(含む旨)・30%(高い旨)が基準です。 詳細は令和7年3月改正後の食品表示基準 別表第12(消費者庁)を参照してください。
4. 相対表示(強化・低減)の要件
相対表示は、同種の比較対象食品と比べて栄養成分が多い・少ないことを訴求する表示です。 食品表示基準 別表第13によって要件が定められています。
相対表示の3要件
- 差異が25%以上あること(強化:25%以上増加、低減:25%以上減少)
- 絶対差として一定量以上の差があること(エネルギーは40kcal以上、たんぱく質は4g以上等)
- 比較対象食品を明記すること(「当社従来品比」「スタンダードタイプ比」等)
相対表示の表示例
- ・ 「当社従来品比 脂質30%カット(従来品:10g→本品:7g)」
- ・ 「スタンダードタイプ比 カロリー25%オフ(従来品:200kcal→本品:150kcal)」
比較対象が具体的でない「低カロリー」は絶対表示として基準値を満たす必要があります。 相対表示として「低カロリー」と書く場合は、比較対象の明記と25%以上の差が必要です。
5. 「無添加」「不使用」表示のガイドライン
「無添加」「〇〇不使用」表示は食品表示基準の義務表示ではなく任意表示ですが、 消費者庁が2022年3月に策定した「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」に従う必要があります。
ガイドラインが問題視する10類型(抜粋)
| 類型 | 問題のある表示例 | 問題の内容 |
|---|---|---|
| 類型1 | 「保存料不使用」(ただし保存効果のある添加物を使用) | 保存料の代わりに保存効果を持つ添加物を使用しているのに「不使用」と強調 |
| 類型2 | 「無添加」(添加物の一部が含まれる) | 一部の添加物を使っているのに「無添加」と表示 |
| 類型3 | 「合成着色料不使用」(天然着色料を使用) | 天然着色料を使っているのに「合成着色料不使用」と強調 |
| 類型4 | そもそもその食品に使用が認められていない添加物を「不使用」と表示 | 使用が認められていない物質を「不使用」とアピールするのは意味がない |
※ ガイドラインは10類型の問題表示を列挙しています。全類型の詳細は 消費者庁「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」(2022年3月策定)を参照してください。 2024年4月以降は経過措置期間終了により、同ガイドラインへの対応が実質的に求められます。
根拠のない「無添加」「不使用」表示は、景品表示法(不当表示)の優良誤認表示に該当する可能性があります。 消費者庁による措置命令・課徴金の対象となるリスクがあるため、 表示内容は実際の添加物使用状況と完全に一致していることを確認してください。
6. よくある誤りと実務ポイント
よくある誤り1:「カロリーゼロ」と「低カロリー」の基準混同
「カロリーゼロ」は100gあたり5kcal以下、「低カロリー」は40kcal以下が要件です。 「ゼロ」「フリー」「ノン」「レス」等の語句は「無の旨」として基準値(5kcal/100g以下等)を 満たす必要があり、「オフ」「控えめ」は「低い旨」として別の基準値(40kcal/100g以下等)が適用されます。
よくある誤り2:相対表示で比較対象を記載しない
「糖質30%オフ」と表示する場合、何と比較して30%少ないのかを必ず明記する必要があります。 「当社従来品比」「同種製品平均値比」等の比較基準の記載がない相対表示は、 食品表示基準違反になる可能性があります。
実務ポイント:栄養成分値の根拠資料を整備する
栄養強調表示を行う場合は、表示根拠となる栄養成分値の計算資料または分析結果を保管することが重要です。 行政からの問い合わせ・調査時に根拠を提示できる体制が求められます。 栄養成分値の計算方法については栄養成分表示の計算方法ガイドで詳しく解説しています。
まとめ
栄養強調表示は「絶対表示(高い旨・含む旨・低い旨・無の旨)」と「相対表示(強化・低減)」に分かれ、 それぞれ食品表示基準 別表第12・第13が定める具体的な閾値を満たす必要があります。 根拠なき栄養強調表示は食品表示法違反、景品表示法違反のリスクがあります。
「無添加」「不使用」表示については消費者庁ガイドライン(2022年3月)が問題類型を具体的に示しており、 2024年4月以降の経過措置期間終了を踏まえた対応が必要です。 いずれの表示も、表示根拠となる栄養成分値データと添加物使用状況の整備が実務上の最重要事項です。
食品表示ラベル全体の義務事項については食品表示の作り方・ラベル作成手順もご確認ください。
参照法令: 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)第7条・別表第12・別表第13、 食品表示基準の一部改正(令和7年内閣府令第26号)、 消費者庁「栄養強調表示に関するQ&A」、 消費者庁「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」(2022年3月策定)
Genkaで原価計算・食品表示ラベルを自動化
レシピを入力するだけで原価率をリアルタイム計算。 食品表示法準拠のラベルPDFをワンクリックで生成できます。 初月無料トライアルで今すぐお試しいただけます。
無料で始める →