特定保健用食品(トクホ)の仕組み|許可制度とマークの意味


この記事の要点(3点)

  • ・ トクホは消費者庁長官の個別許可を受けて保健の用途を表示する食品。人での臨床試験を含む審査があり、保健機能食品の中で最も重い制度
  • ・ 許可品目にはトクホマークが付き、許可を受けた表現だけを表示できる
  • ・ 開発には年単位の期間と大きな費用がかかるため、実質的に大手企業向けの制度。小規模事業者は機能性表示食品や栄養機能食品が現実的

根拠: 健康増進法、食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)

1. トクホは「国のお墨付き」型の制度

「脂肪の吸収をおだやかにする」「血圧が高めの方に適した」。 こうした保健の用途を表示する食品のうち、 国が個別に審査して許可したものが特定保健用食品(トクホ)です。 1991年に始まった、保健機能食品制度の中で最も歴史の長い区分です。

審査では、最終製品を使った人での臨床試験を含む科学的根拠と、 安全性の資料が評価されます。 許可を受けると人型のトクホマークを表示でき、 許可された保健の用途の文言をパッケージに書けます。 「国の審査を通った」という信頼性が、 事業者責任の届出制である機能性表示食品との最大の違いです。 両制度の比較は機能性表示食品制度の基礎をご参照ください。

2. 許可までの道のりと費用感

トクホの許可申請には、関与成分の特定と定量法の確立、 最終製品での臨床試験(有効性)、安全性試験、 そして消費者庁と食品安全委員会等による審査というプロセスが必要です。 臨床試験だけで数千万円規模の費用と年単位の期間がかかるとされ、 実質的に大手食品メーカーの制度になっています。

この重さが、2015年の機能性表示食品制度(届出制)誕生の背景でもあります。 制度導入後、新規のトクホ申請は減少傾向にあり、 市場の主役は機能性表示食品に移りました。 それでも「審査を通った」という区別は残っており、 飲料や乳製品の定番トクホ商品は現在も販売されています。

3. 小規模事業者がトクホと関わる場面

自社でトクホを開発する小規模事業者はほぼいませんが、 制度の理解が必要になる場面はあります。

トクホ風の表現を真似しない

「脂肪の吸収を抑える〇〇茶」のようなトクホの定番文言は、 許可を受けた商品だから書ける表現です。 一般食品が同じ文言を使えば、健康増進法の虚偽誇大表示や 景品表示法の優良誤認、内容によっては薬機法の問題になります。 「トクホっぽい見た目や文言」のパッケージデザインも同様のリスクがあります。

仕入れ商品の表示を維持する

トクホ商品を仕入れて販売する場合、許可を受けた表示をそのまま維持します。 小分けや詰め替えをすると許可の前提が崩れるため、 トクホ商品の小分け販売はできないと考えてください。

4. 条件付きトクホと規格基準型

トクホには派生区分があります。 科学的根拠が限定的な段階で「根拠は必ずしも確立されていませんが」という 条件文付きで許可される条件付き特定保健用食品、 関与成分の実績が蓄積された分野で審査を簡略化する規格基準型、 疾病リスク低減表示が認められる区分(カルシウムと骨粗鬆症等)です。 いずれも許可制である点は変わりません。

よくある質問

Q. トクホと機能性表示食品はどちらが「上」ですか?

A. 制度上の優劣ではなく審査の仕組みが違います。 トクホは国の個別審査と許可、機能性表示食品は事業者責任の届出です。 消費者向けの信頼性の打ち出しではトクホが強いとされますが、 表示できる機能の幅や開発スピードでは機能性表示食品に利点があります。

Q. トクホマークに似せたオリジナルマークを作ってもいいですか?

A. 推奨できません。消費者にトクホと誤認させるデザインは 景品表示法の優良誤認や不正競争の問題になり得ます。

まとめ

トクホは国の個別審査という重い手続きの対価として、 保健の用途の表示とマークの信頼性を得る制度です。 小規模事業者にとっての実務は「開発する」ことではなく、 「トクホにしかできない表現を真似ない」ことにあります。 機能性を伝えたいなら、制度の階段(栄養機能食品、機能性表示食品)を順に検討してください。

届出不要の区分は栄養機能食品の解説をご参照ください。

参照法令: 健康増進法、食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)


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