カフェインの表示|含有量表示の実務と高カフェイン飲料の注意喚起
この記事の要点(3点)
- ・ カフェイン含有量の表示は現行制度では義務ではないが、エナジードリンク等の高カフェイン飲料では注意喚起表示が業界実務として定着している
- ・ 添加物としてカフェインを加えた場合は「カフェイン(抽出物)」等の添加物表示が必要。コーヒーや茶の天然由来カフェインは原材料表示に現れない
- ・ 「カフェインレス」「デカフェ」の訴求には残存率の裏付けが必要。カフェインゼロとは意味が違う
根拠: 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)、食品安全委員会等の注意喚起
1. カフェイン表示は「義務ではないが書く」領域
カフェインの過剰摂取による健康被害、特にエナジードリンクの多量摂取問題は、 国内外で注意喚起が続いているテーマです。 それにもかかわらず、日本の食品表示基準では カフェイン含有量の表示は義務化されていません。
このギャップを埋めているのが業界の自主的な表示です。 エナジードリンクの多くは「カフェイン〇〇mg/本」の含有量表示と、 「小さなお子様、妊娠中・授乳中の方、カフェインに敏感な方はご遠慮ください」 のような注意喚起を記載しています。 コーヒーや茶の抽出飲料でも、含有量の目安を書く事業者が増えています。 義務でないからこそ、書くこと自体が誠実さの表明になる領域です。
2. 添加か天然由来かで表示が変わる
表示制度上のカフェインの扱いは、由来で分かれます。
- 添加物として加えた場合:エナジードリンクのように苦味料・強化目的で カフェインを添加したら、添加物としての表示(「カフェイン」等)が必要です
- 原材料に天然に含まれる場合:コーヒー、茶、カカオ由来のカフェインは 原材料名(コーヒー、紅茶等)の中に含まれ、カフェインの語は表示に現れません
つまり「原材料欄にカフェインの文字がない=カフェインが入っていない」ではありません。 自家製のコーヒーゼリーやほうじ茶プリンを販売する場合、 表示義務はなくても「カフェインを含みます」の一言を添えると、 妊娠中の方や子ども向けの購入判断を助けられます。 この考え方はコーヒー豆・粉の食品表示ラベルの書き方でも触れています。
3. 「カフェインレス」「デカフェ」の使い方
カフェインを除去した商品の訴求には段階があります。 業界慣行として、コーヒーでは カフェインを90%以上除去したものを「カフェインレス」「デカフェ」と呼ぶ運用が 広く行われています(全日本コーヒー公正取引協議会の規約に基づく整理)。 「カフェインゼロ」は検出されないレベルの裏付けが必要な、より強い主張です。
自家焙煎店がデカフェ生豆を仕入れて売る場合は、 仕入れ元の規格書で除去率を確認し、その範囲の表現を使ってください。 「妊婦さんも安心」のような安全断定の表現は、 微量残存がある以上避けるのが賢明です。 事実(除去率、含有量)を書き、判断は消費者に委ねる形が正しい設計です。
4. 実務のポイント
含有量を書くなら根拠を持つ
「カフェイン〇〇mg」と書くなら、分析値または信頼できる文献値 (食品成分表等)に基づいてください。 抽出条件(湯温、時間、豆量)で大きく変動するため、 自店の抽出条件での値であることを添えるのが誠実です。
子ども向け商品への配慮
ココアやチョコレート飲料にもカフェインは含まれます。 子ども向けを打ち出す商品では、含有の事実と目安量の情報提供を検討してください。 安全に関わる情報の先回り提供は、クレーム予防にもなります。
よくある質問
Q. カフェインの1日摂取目安はどのくらいですか?
A. 日本では法定の基準値はありませんが、海外の公的機関では 健康な成人で1日400mg程度までとする評価が知られています(機関により異なります)。 表示で目安に言及する場合は出典を確認の上、断定を避けて書いてください。
Q. 「ノンカフェイン」と「デカフェ」はどう違いますか?
A. ノンカフェインはもともとカフェインを含まない素材(麦茶、ルイボス等)、 デカフェはカフェインを除去した商品を指す使い分けが一般的です。 微量残存のあるデカフェをノンカフェインと表示するのは誤認を招きます。
まとめ
カフェイン表示は義務化されていないからこそ、 含有量と注意喚起の自主表示が事業者の姿勢を示す領域です。 添加なら添加物表示、天然由来なら任意の情報提供、 除去品なら除去率の裏付けと、由来に応じた設計をしてください。
飲料全般の表示は清涼飲料水の食品表示ラベルの書き方をご参照ください。
参照法令: 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)
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