カフェの原価設計|ドリンクで稼ぎフードで呼ぶ構造を数字で作る
この記事の要点(3点)
- ・ カフェの収益構造はドリンク(低原価率)で粗利を稼ぎ、フード(中〜高原価率)で来店動機を作るミックス設計が基本
- ・ コーヒー1杯の材料原価は一般に低いが、本当のコストは滞在時間(席の回転)にある。原価率だけ見ると判断を誤る
- ・ メニュー全体のミックス原価率を30%前後に収める設計を、品目別の原価計算の積み上げで作る
※ 原価率の水準は業態・立地により幅があります。本記事の数値は一般的な目安です。
1. カフェは「原価率の二重構造」で成り立つ
カフェのメニュー表は、原価率の観点で見ると二層に分かれています。 ドリンク、特にコーヒーや紅茶は材料原価率が低く(一般に10〜20%程度とされます)、 フード、特にケーキやランチプレートは原価率が高め(30〜40%程度になりがち)です。
この構造を理解すると、経営の型が見えてきます。 フード単品の原価率の高さを恐れて品質を落とすのではなく、 フードは来店動機と客単価の押し上げ役と割り切り、 ドリンクとのセット化やミックスで全体の原価率を管理する。 「ケーキセットで頼んでもらえば合算原価率は落ち着く」という発想です。 全体の原価率管理は原価率30%を守るための食材単価管理術をご参照ください。
2. コーヒー1杯の原価を分解する
コーヒーの材料原価は、豆(1杯10〜15g)、ミルク、砂糖、カップ(テイクアウト時)で 構成されます。スペシャルティ豆を使っても材料原価は数十円の世界であり、 「原価率で見れば優等生」です。
しかしカフェの本当のコストは席にあります。 1杯のコーヒーで2時間滞在する客と、30分で回転する客では、 同じ原価率でも席あたりの売上が4倍違います。 だからカフェの数字は、原価率と並べて席あたり売上、回転率、滞在時間を見る必要があります。 電源とWi-Fiを提供する滞在型で行くのか、 回転重視で行くのかは、原価設計より先に決めるべき業態の意思決定です。
3. メニューミックスの設計手順
- 品目別の原価計算:全メニューのレシピから材料原価を算出する。 手順はレシピ原価計算の基礎の通り
- 販売構成の予測:ドリンク:フードの出数比率を想定する(実績が出たら実数で置き換える)
- ミックス原価率の計算:品目別原価率×出数構成比の加重平均で全体を見る
- セットとサイドで調整:ミックスが目標を超えるなら、セット割引の設計(ドリンク側で吸収)や低原価サイド(焼き菓子)の追加で構成を動かす
値付けの発想は「1品ごとに原価率30%」ではなく 「構成全体で30%前後」です。 看板のプリンが原価率40%でも、それが集客の核なら正解になり得ます。 メニュー全体の分析はメニューエンジニアリングとABC分析をご参照ください。
4. カフェ特有の原価管理ポイント
よくある質問
Q. カフェの原価率の目安は何%ですか?
A. 業態により幅がありますが、ドリンク中心なら25%前後、フード充実型なら30%強の ミックス原価率が一般的な目安とされます。大事なのは目安との比較より、 自店の品目別原価を把握して構成で管理することです。
Q. 値上げとサイズ変更のどちらで原価上昇に対応すべきですか?
A. 一長一短ですが、カフェは価格の記憶が強い業態のため、 セット構成の見直しや新メニューへの移行で実質単価を上げる方法も有効です。 値上げの実務は値上げの進め方をご参照ください。
まとめ
カフェの原価設計は、ドリンクとフードの二重構造をミックスで束ね、 席の回転という時間のコストを重ねて見る仕事です。 品目別の原価計算を土台に、出数構成で全体を管理し、 物販やテイクアウトで席の制約を補強する。 この構造が数字で描ければ、こだわりの一杯と経営は両立します。
客単価の設計は客単価アップの考え方をご参照ください。
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