ジューススタンドの原価|フルーツのロスと戦う業態
この記事の要点(3点)
- ・ フレッシュジュースの原価はフルーツの仕入れ値×歩留まり(皮・種・搾りかす)×廃棄率の三段階で目減りする
- ・ 「果物の値段」と「果汁の値段」は別物。搾って何ml取れるかの実測が値付けの根拠になる
- ・ その場提供は飲食店営業の範囲、ボトル詰め販売は清涼飲料水製造の世界。この境界が業態設計を決める
※ 歩留まりは果物の種類・熟度により大きく変わります。
1. 三段階で目減りするフルーツ原価
オレンジ1個100円。この仕入れ値がジュース一杯の原価に なるまでに、三段階の目減りがあります。
- 歩留まり:皮、種、搾り残しを除いた果汁は、 重量の半分前後になる果物が多い(柑橘の搾汁率は品種と搾り方で40〜60%程度の幅)
- 規格ロス:熟れすぎ・傷みの廃棄。フルーツは在庫の足が速く、 発注精度がそのまま廃棄率になる
- 仕込みロス:カットフルーツの変色廃棄、ミキサーやピッチャーに残る分
「1杯にオレンジ3個使用」という訴求は、 原価計算では「3個分の仕入れ値÷歩留まり込み」で積む必要があります。 歩留まりの考え方は歩留まり率を考慮した原価計算をご参照ください。
2. 実測が値付けを作る
ジューススタンドの値付けの根拠は、実測データです。 この果物を1kg搾ると何ml取れるか。 Mサイズカップ(300ml等)に必要な果物は何グラムか。 品種・季節・熟度で変わるため、仕入れロットごとの 搾汁記録が自店の原価表になります。
ミックスジュースやスムージーは、 高価な果物(マンゴー等)に、バナナ・りんご・氷・ミルクの 「かさ」を組み合わせて原価を設計できる自由度があります。 季節の看板(旬のフルーツ100%)と、 定番のミックス(原価管理しやすい)の二層構成が定石です。
3. その場提供とボトル販売の制度の壁
カップに注いでその場で手渡すジュースは飲食店営業の範囲です。 しかしボトルに詰めて持ち帰り販売・EC販売する形は、清涼飲料水製造業の許可と殺菌基準の世界に入ります。 未殺菌のフレッシュジュースをボトルで売ることはできません。 「映えるボトルで売りたい」という希望は、 この制度の壁の前で業態設計をやり直すことになります。 その場充填・即時消費前提の運用の可否は 自治体判断が分かれるため、保健所に確認してください。
4. 廃棄と発注の設計
フルーツは日持ちの短い在庫です。 廃棄率を下げる実務は次の通りです。
- 出数データでの発注:曜日・天候別の販売記録から発注量を調整する
- 熟度の使い分け:熟れの進んだ果物をスムージー・ミックスに回す設計
- 冷凍活用:バナナ・ベリー類は冷凍でロスを止め、スムージーの氷代わりに使う
- 廃棄記録:品目別の廃棄を記録し、仕入れの見直しに反映する。食品ロス管理参照
八百屋や市場との関係づくりも廃棄対策になります。 熟度の進んだ果物を安く仕入れて当日のスムージーに使う、 規格外品をジュース用として引き受けるといった仕入れの工夫は、 原価低減と食品ロス削減を同時に実現し、 店の物語としても発信できる素材になります。
よくある質問
Q. 「100%フレッシュジュース」と表示してもいいですか?
A. その場で搾った果汁のみで提供しているなら事実表示として使えます。 水や氷、シロップで割る場合は100%を名乗れません。 容器詰め販売では果汁率の表示ルール(果汁飲料の表示)が適用されます。
Q. ジュース一杯の適正価格はどう決めますか?
A. 実測原価(歩留まり・廃棄込み)に、立地相場と提供体験の価値を重ねて決めます。 旬の高級果物は「グラム単価×使用量」を正直に価格へ反映し、 安さで勝負しないのがこの業態の定石です。
まとめ
ジューススタンドの原価管理は、三段階で目減りするフルーツの実測から始まります。 搾汁記録が値付けの根拠になり、発注精度が廃棄率を決め、 ボトル販売の制度の壁が業態の輪郭を決めます。 「果物の値段」でなく「果汁の値段」で考える習慣を持ってください。
果物のアレルゲン品目は果物アレルゲンの表示をご参照ください。
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