肉の歩留まり率|掃除後単価という本当の原価


この記事の要点(3点)

  • ・ ブロック肉の原価は掃除(トリミング)後の重量で割り直した「掃除後単価」で考える。スジ・脂・ドリップで1〜2割目減りするのが通常
  • ・ 加熱による焼き縮み(重量減20〜30%程度)まで含めると、提供時のグラム原価はさらに上がる。「生のグラム単価」で値付けすると利益が消える
  • ・ 端材とスジの二次活用(煮込み、スープ、まかない)が実質歩留まりを引き上げる。捨てる部位を売上に変える設計

※ 歩留まりは部位・品質・カット技術により大きく変わります。

1. 三段階で目減りする肉の重量

肉の原価計算には、三つの目減りポイントがあります。

  1. 掃除(トリミング):スジ、余分な脂、銀皮の除去。 部位により1〜2割の重量減
  2. ドリップ:解凍や保存中に出る肉汁。冷凍肉では数%の目減り
  3. 加熱収縮:焼く・煮ることで水分と脂が抜け、 重量は生の70〜80%程度になるのが一般的

仕入れ100g単価200円の肉が、掃除で85g、焼いて65gになったなら、 提供ベースのグラム単価は約308円。5割増しです。 「200gステーキ」の200gが生の重量か提供時かで 原価も表示も変わるため、基準を明確にしてください。 この計算の枠組みは歩留まり率を考慮した原価計算の応用です。

2. 実測の手順

  1. 仕入れブロックの重量を記録する
  2. 掃除後の正肉重量と、スジ・脂の重量を分けて記録する
  3. 掃除後重量÷仕入れ重量=掃除歩留まり率を出す
  4. 主要メニューは加熱後重量も一度実測し、加熱歩留まりを持つ
  5. 仕入れ単価÷歩留まり率で「掃除後単価」「提供時単価」を原価表に載せる

この記録はロットごとのばらつき(仕入れ先や個体による差)も 可視化します。歩留まりが悪化したロットが続くなら、 仕入れ先との規格交渉の根拠データになります。 「最近スジが多い」という感覚的なクレームより、 「直近3ロットの掃除歩留まりが平均より5ポイント低い」という 数字の提示の方が、交渉は確実に前に進みます。

3. 端材を売上に変える

掃除で出るスジと脂は、廃棄すれば歩留まりロス、 活用すれば商品です。

  • スジ:煮込み(どて煮、カレー)、おでん種。低価格帯の人気メニューに化ける
  • :牛脂として炒め油に、鶏皮はパリパリ焼きやだしに
  • 端材:切り落とし丼、まかない、スタッフ試食(教育を兼ねる)
  • :スープ・ブイヨンのだしに(ラーメン店の原価構造のスープ経済)

「ブロックで買って全部使う」設計ができる店は、 カット肉仕入れの店より実質原価を下げられます。 その代わり技術と仕込み時間が必要になる。 このトレードオフは焼肉店の原価管理でも扱った、業態の技術投資の問題です。

4. グラム表示と景品表示法

メニューの「200g」表示は、調理前(生)の重量を指すのが 外食の一般的な慣行ですが、実際の提供量が表示から 大きく乖離すれば景品表示法の問題になり得ます。 ポーションの計量を仕組みにし(ポーションコントロール参照)、「調理前重量」の注記を添えるのが誠実な実務です。 成形肉を使う場合の表示は食肉の表示をご参照ください。

よくある質問

Q. 歩留まりの実測はどのくらいの頻度でやるべきですか?

A. 主要部位は導入時に3ロット程度実測して基準値を作り、 以後は仕入れ先や規格が変わったときに再実測するのが実務的です。 毎回の計量は不要ですが、記録の習慣は品質異常の早期発見に役立ちます。

Q. 鶏肉の歩留まりはどう考えますか?

A. 丸鶏からの解体(もも、むね、ささみ、手羽、ガラ)は部位別の 取れ高を記録し、部位ごとの販売価値で原価を配分します。 骨付き部位の骨の重量も可食部計算に織り込んでください。

まとめ

肉の原価は、掃除・ドリップ・加熱収縮の三段階の目減りを 織り込んだ「提供時単価」で初めて正確になります。 実測の記録、端材の二次活用、グラム表示の誠実な運用。 この3点が、肉を扱う全業態の原価管理の土台です。

野菜・魚の歩留まりは野菜の歩留まり率魚の歩留まり率をご参照ください。


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