パンの食品表示ラベルの書き方|必要な許可と表示例
この記事の要点(3点)
- ・ 包装して販売するパンには食品表示基準に基づく一括表示(名称、原材料名、添加物、内容量、期限、保存方法、製造者等)が必要
- ・ パンの製造販売には菓子製造業の営業許可が必要。店内で製造しその場で対面販売する場合は表示の一部を省略できる
- ・ パンは小麦、卵、乳などアレルゲンを複数含みやすい食品。副材料とトッピングまで含めた確認が欠かせない
根拠: 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)、食品衛生法
1. パンの表示が必要になるのはどんなときか
同じパンでも、売り方によって表示義務の範囲が変わります。 分かれ目は「容器包装に入れて販売するかどうか」です。
袋詰めして販売するパンは「加工食品」として食品表示基準の対象になり、一括表示が必要です。 一方、店内で製造したパンを裸のままトレーに並べ、対面で販売する場合(いわゆるベーカリー方式)は、 容器包装への表示義務はありません。ただしアレルゲンや原材料について口頭や店頭掲示で案内できる体制は、 事故防止の観点から整えておくべきです。
自店のパンを袋に入れてスーパーや道の駅に卸す、ECサイトで販売する、といった販路をとった時点で、 表示義務は全面的に発生します。この違いの詳細は店内製造販売と包装販売の表示義務の違いで解説しています。
2. 必要な営業許可
パンの製造販売には、食品衛生法に基づく菓子製造業の営業許可が必要です。 2021年6月施行の改正で営業許可業種が再編され、パン類の製造は菓子製造業の範囲として整理されました。 あんパンやクリームパンのような菓子パンも、食パンのような主食用パンも、この許可で製造できます。
サンドイッチのように調理を伴うパンは、取り扱いが分かれる場合があります。 菓子製造業の範囲で製造できる場合と、そうざい製造業や飲食店営業の許可が求められる場合があるため、 製造品目を決めた段階で管轄の保健所に確認することを推奨します。 許可制度の全体像は食品の営業許可制度(2021年改正)の解説をご参照ください。
3. 一括表示の書き方と表示例
包装して販売する食パンを例に、一括表示の記載例を示します。
| 名称 | 食パン |
| 原材料名 | 小麦粉(国内製造)、砂糖、バター、パン酵母、食塩、脱脂粉乳 |
| 添加物 | 乳化剤、ビタミンC |
| アレルゲン | 小麦、乳成分(一括表示例: 「(一部に小麦・乳成分を含む)」を原材料名欄の末尾に記載) |
| 内容量 | 1斤 |
| 消費期限 | 2026.7.21 |
| 保存方法 | 直射日光、高温多湿を避けて保存してください |
| 製造者 | 〇〇ベーカリー 東京都〇〇区〇〇1-2-3 |
原材料名は使用した重量の割合が高い順に記載します。この順序のルールは原材料名の記載順序のルールで詳しく説明しています。 最初の原材料には原料原産地(上の例では「国内製造」)の記載も必要です。 栄養成分表示(熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量)も原則として義務です。
※ 「食パン」には公正競争規約(包装食パンの表示に関する公正競争規約)があり、 規約に参加する事業者には斤数表示など追加のルールが適用されます。
4. パン特有の注意点
アレルゲンの見落としやすい箇所
パン生地そのものに小麦、卵、乳成分が使われるのに加えて、 トッピングや艶出しの卵液、フィリングのナッツ類など、副材料からアレルゲンが入り込みます。 特定原材料9品目のうち、くるみはパンのトッピングとして使用頻度が高く、表示義務があります。 原材料規格書を取り寄せ、練り込みと仕上げの両方の工程で確認してください。
期限表示の使い分け
傷みやすい惣菜パンや生クリームを使ったパンは消費期限、 日持ちする焼き菓子系のパンやラスク類は賞味期限が一般的な使い分けです。 期限は科学的根拠に基づいて設定する必要があります。設定の考え方は賞味期限と消費期限の違いと決め方をご参照ください。
まとめ
パンの表示は「包装して売るかどうか」で義務の範囲が決まり、 包装販売では名称から製造者までの一括表示と栄養成分表示が必要になります。 製造には菓子製造業の許可が前提です。 アレルゲンは生地と仕上げの両工程から拾い上げ、期限はパンの種類に応じて消費期限と賞味期限を使い分けます。
表示作成の全体手順は食品表示ラベルの作り方で解説しています。
参照法令: 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)、食品衛生法、包装食パンの表示に関する公正競争規約
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