料理写真と景品表示法|「盛れた写真」が違反になる境界線


この記事の要点(3点)

  • ・ 写真もメニュー文言と同じく景品表示法の「表示」。実物と著しく異なる写真は優良誤認のおそれがある
  • ・ 境界線は「注文判断を誤らせる差か」。美しく撮るのは自由、量・具材数・サイズを実際より多く見せるのは危険
  • ・ 「写真はイメージです」の注記は万能の免罪符ではない。実物との差が大きいほど注記では打ち消せない

1. 写真は「表示」である

景品表示法の「表示」は文字に限りません。 写真・イラスト・動画も、商品の内容を示すものは全て表示であり、 実際のものより著しく優良と誤認させれば優良誤認の対象になります。 メニューブック、店頭の写真看板、デリバリーアプリのサムネイル、 SNSの投稿、ECの商品画像。 客が注文・購入の判断に使う写真は、全て同じ基準で見られます。

「著しく」がキーワードです。 プロが照明を整えて美味しそうに撮ること自体は問題ではありません。 問われるのは、その写真を見て注文した客が、 実物を見て「話が違う」と感じる差があるかどうかです。

2. 危険な写真の類型

  • 量の水増し:撮影用だけ大盛り、具を表面に集めて 敷き詰まっているように見せる、小さい器で嵩を高く見せる
  • 具材数の差:写真は海老5尾、実物は3尾。 数えられる具材の差は最も分かりやすい誤認
  • 別グレードの流用:上位メニューの写真を 通常メニューに使い回す
  • サイズ感の操作:比較対象を排して実際より 大きく見せる構図(ミニチュア器の使用等)
  • 過剰な加工:色味の調整を超えて、具やボリュームを 画像加工で盛る(生成AIでの改変を含む)

共通するのは、見た目の魅力でなく数量・内容の事実を 写真で偽っている点です。 この線を守れば、撮影技術で魅力を引き出すことは自由です。

3. 「写真はイメージです」の効力と限界

広く使われるこの注記は、盛り付けの細部や器の違いといった 軽微な差を断る機能はあっても、 実質的な差(量・具材数・グレード)を打ち消す力はありません。 打ち消し表示の一般原則として、本体の表示で与えた印象を 小さな注記で覆すことはできない、と考えてください。 差が大きいなら、注記でなく写真自体を実物に合わせるのが唯一の解です。

実務としては、提供実物と同じ盛り・同じ器で撮ることを 撮影のルールにすれば、この問題は最初から発生しません。 撮影直後に実物と見比べて、具材数と嵩を確認する一手間が保険になります。

4. 更新漏れと販路ごとの整合

メニュー改定で量や具材を変えたのに、写真が旧仕様のまま残る。 これは文言の更新漏れ(メニュー表示と景品表示法)と同じ構造の事故です。 特にデリバリーアプリ・グルメサイト・ECは写真の更新を忘れやすく、 店頭と配達で盛りが違う(配達容器では見栄えが変わる)ことも クレームの火種になります。 ポーション変更(仕込みと提供の原価管理の実務)やコスト対応の仕様変更をしたら、 写真も更新対象リストに含めてください。

よくある質問

Q. 手作りなので提供のたびに見た目が変わります。どこまで合わせるべきですか?

A. 手作りの自然なばらつきは問題になりません。 基準は「標準的な提供品」と写真の差です。 普段の提供品を撮った写真であれば、日々の揺らぎは許容範囲です。

Q. フリー素材や他店の写真を使ってもいいですか?

A. 自店の商品として実物と異なる写真を掲げること自体が誤認の元です。 著作権・肖像権の問題も別途生じるため、 自店の実物を撮った写真だけを使ってください。

まとめ

料理写真は景品表示法上の表示であり、 境界線は「注文判断を誤らせる差があるか」です。 美しく撮るのは自由、数量・内容を偽るのは違反のおそれ。 「イメージです」は免罪符にならず、 実物と同じ仕様で撮ることが最初からの最適解です。 仕様変更時は写真も更新リストへ。

ECの商品ページ全体の法令チェックはECページの法令チェックをご参照ください。


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