固形量・内容総量の表示|液に浸かった食品の内容量ルール
この記事の要点(3点)
- ・ 固形物と充填液からなる食品(シロップ漬け、水煮、ピクルス等)は固形量と内容総量の両方を表示するのが基本ルール
- ・ 消費者が買っているのは「中身の固形物」。液で嵩増しした見せ方を防ぐための制度
- ・ 固形量の管理は充填時の計量記録で担保する。ドレン後(液切り後)の重量が表示を満たす必要がある
根拠: 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)
1. 「大きな瓶なのに中身が少ない」を防ぐ制度
フルーツのシロップ漬けを買ったら、瓶の半分以上がシロップだった。 この消費者の不満に応えるのが固形量表示です。 食品表示基準では、固形物に充てん液を加えて容器包装に密封した食品について、固形量(液を除いた中身の重量)と内容総量(全体の重量)の 両方を表示することを求めています (固形量の管理が難しい場合等の例外もあります)。
対象になりやすいのは、桃缶のようなシロップ漬け、ツナ缶や大豆の水煮、 ピクルスやオリーブの酢漬け・塩水漬け、オイル漬け(オイルサーディン等)です。 「内容総量200g(固形量120g)」のような併記が標準の書き方になります。 ピクルスでの具体例はピクルスの食品表示ラベルの書き方をご参照ください。
2. 固形量をどう計るか
固形量は「液を切った状態の中身の重量」です。 実務では、充填時に固形物の重量を計ってから液を注ぐ手順にすれば、 そのまま固形量の記録になります。 出来上がった商品から確認する場合は、 ざるで一定時間液切りしてから計る方法(ドレン重量の測定)が使われます。
注意すべきは、漬け込み中の重量変化です。 塩蔵品は浸透圧で水分が抜けて軽くなり、 乾物を液に漬ければ吸水して重くなります。 充填時の重量と、消費者が開封する時点の固形量がずれる食品では、 変化後の実態に合わせた表示量の設計が必要です。 量目管理の一般論は内容量表示と計量法で解説しています。
3. 表示の書き方
| 併記の例 | 固形量:120g 内容総量:200g |
| 一行の例 | 内容総量200g(固形量120g) |
固形量と内容総量が同じ意味になる食品(液がごく少量で計量後に吸収される等)や、 固形量の管理が困難な食品には内容量表示のみの扱いもあります。 自分の商品が固形量表示の対象かどうか迷う場合は、 消費者庁の食品表示基準Q&Aや保健所に確認してください。
4. 実務のポイント
原価計算は固形量ベースで
シロップ漬けやオイル漬けの商品設計では、 原価も固形量ベースで考える必要があります。 瓶のサイズに対して果実を何グラム詰めるかが原価と表示の両方を決め、 液は比較的安価な構成要素です。 「見た目は満杯、固形量は最小」の設計は原価上は魅力的でも、 固形量表示によって消費者に見えるため、 リピートを狙う商品では中身の充実が結局は正解になります。 原価の組み立てはレシピ原価計算の基礎をご参照ください。
オイル漬けの油も原材料
充填液は表示上の「その他」ではなく原材料です。 シロップなら砂糖と水、オイル漬けなら食用油の種類(オリーブ油等)を 原材料名欄に記載します。 オイルの種類は価格差が大きく、 「オリーブオイル漬け」をうたって安価な混合油を使えば優良誤認になります。
よくある質問
Q. 自家製の鶏ハムをオイルに漬けた商品も固形量表示が必要ですか?
A. 固形物+充填液で密封した食品として対象になり得ます。 なお肉のオイル漬けは保存設計(ボツリヌス対策)の難度が高い商品でもあるため、 表示と衛生の両面で保健所に相談してください。
Q. 固形量に量目公差はありますか?
A. 計量法の量目公差の対象は商品区分によります。 少なくとも表示した固形量を実質的に下回らない充填管理を行い、 ばらつきを見込んでやや多めに詰めるのが実務の定石です。
まとめ
固形量表示は「消費者が買っているのは中身の固形物」という原則を 数字で担保する制度です。 充填時の計量記録で固形量を管理し、漬け込み中の重量変化を見込み、 充填液も原材料として正しく表示する。 瓶詰・缶詰系の商品を作るなら最初に覚えるべきルールです。
瓶詰全般の表示はジャムの食品表示ラベルの書き方もあわせてご参照ください。
参照法令: 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)、計量法
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