有機JAS表示のルール|「オーガニック」を名乗るための条件
この記事の要点(3点)
- ・ 農産物と農産加工食品で「有機」「オーガニック」を名乗るには有機JAS認証が必要。認証なしの表示は法律違反になる
- ・ 認証は登録認証機関による検査を受けて取得する。ほ場の管理記録から小分け業者まで、流通の全段階が対象
- ・ 「農薬不使用」「自然栽培」のような周辺表現にもガイドラインの制約がある。特別栽培農産物表示ガイドラインの理解が必要
根拠: 日本農林規格等に関する法律(JAS法)、有機JAS規格
1. 「オーガニック」は自由に名乗れない
「無農薬で育てた野菜だから、オーガニックと書いて売りたい」。 この自然な発想が、JAS法の規制と衝突します。 農産物と農産加工食品について「有機」「オーガニック」の表示ができるのは、有機JAS認証を受けた事業者が有機JASマークを付した商品だけです。 認証なしにこれらの語を表示すると、JAS法違反として罰則の対象になります。
これは消費者保護のための制度です。 「有機」の定義(禁止された農薬や化学肥料を使わない、転換期間を経たほ場で栽培する等)を 規格として固定し、第三者検査で担保することで、 言葉の価値を守る仕組みになっています。
2. 認証取得の枠組み
有機JAS認証は、農林水産省に登録された登録認証機関の検査を受けて取得します。 対象は生産者だけではありません。
- 有機農産物の生産行程管理者:農家、農業法人
- 有機加工食品の生産行程管理者:加工食品メーカー、工房
- 小分け業者:認証品を小分け包装する事業者
- 輸入業者:同等性のある国からの有機食品の輸入者
有機農産物を仕入れてジャムに加工して「有機ジャム」として売るには、 加工者自身が有機加工食品の認証を持つ必要があります。 原料が有機でも、認証のない工房で加工した瞬間に「有機」を名乗れなくなる。 この点が最も誤解されやすい落とし穴です。
3. 認証なしでも使える表現、使えない表現
| 表現 | 認証なしでの使用 |
|---|---|
| 有機、オーガニック | 不可(JAS法違反) |
| 無農薬 | 不可(特別栽培農産物表示ガイドラインで禁止) |
| 栽培期間中農薬不使用 | 事実であれば可(ガイドラインに沿った表現) |
| 特別栽培農産物 | ガイドラインの要件(節減割合等の表示)を満たせば可 |
「無農薬」の表示は、残留農薬ゼロと誤認させるとして 特別栽培農産物に係る表示ガイドラインで使用しないこととされています。 事実を伝えたい場合は「栽培期間中農薬不使用」のような ガイドラインに沿った表現を使ってください。
4. 小規模事業者の現実的な選択
有機JAS認証には、申請費用、年次検査費用、記録管理の人的コストがかかります。 小規模な農家や工房にとって、認証がペイするかは販路と単価次第です。 現実的な選択肢は3つあります。
- 認証を取る:有機を軸にブランドを作る覚悟がある場合。百貨店や自然食品店への卸で単価が取れる
- 認証を取らず、事実ベースの表現で売る:「栽培期間中農薬不使用」等で誠実に伝える。直売やマルシェの対面販売と相性がよい
- 有機原料の使用を事実として書く:認証品の原料を使う場合、原材料名欄に「有機大豆」等と書くことは原料の事実表示として認められる(商品全体を「有機」と称するのとは区別)
どの道でも、事実と異なる表示は景品表示法と食品表示法の両方の問題になります。 誠実な表現の設計は食品表示ラベルの作り方をご参照ください。
よくある質問
Q. 有機野菜を仕入れて作った料理を「オーガニックメニュー」と書けますか?
A. 外食のメニュー表示は有機JAS制度の直接の対象外ですが、 事実に基づかない表示は景品表示法の問題になります。 有機認証品を使っている事実の範囲で表現してください。
Q. 認証取得にはどのくらいの期間がかかりますか?
A. ほ場の転換期間(多年生作物以外は播種前2年以上の禁止資材不使用)が必要なため、 慣行栽培からの転換では年単位の準備になります。 登録認証機関への相談から始めてください。
まとめ
「有機」「オーガニック」は認証で守られた用語であり、 認証なしの使用は違反です。「無農薬」も使えません。 認証を取るか、ガイドラインに沿った事実表現で売るかは経営判断ですが、 どちらの道でも事実に基づく表示という原則は変わりません。
6次化商品の販売は乾物・干物の食品表示ラベルの書き方もあわせてご参照ください。
参照法令: JAS法、有機JAS規格、特別栽培農産物に係る表示ガイドライン
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