輸入食品の原産国表示|輸入者の表示責任と書き方
この記事の要点(3点)
- ・ 輸入した加工食品には原産国名の表示が必要。表示責任は「輸入者」が負い、日本語の一括表示を作成して販売する
- ・ 海外パッケージのまま売ることはできない。日本の食品表示基準に合わせたラベルの貼付が必要
- ・ アレルゲンや添加物は日本と海外で制度が違う。現地表示の翻訳ではなく日本基準での作り直しが必要
根拠: 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)、食品衛生法
1. 「翻訳して貼ればいい」ではない
海外の調味料や菓子を仕入れてECで売る。輸入食品の小売は個人でも始めやすいビジネスに見えますが、 表示の実務は「現地ラベルの翻訳」では済みません。 日本の食品表示基準と海外の表示制度は、 アレルゲンの対象品目、添加物の使用可否と名称、栄養成分の表示単位まで異なるからです。
たとえばアレルゲンは、日本の特定原材料と EU や米国の義務品目が一致しません。 添加物は国によって使用が認められる物質そのものが違い、 現地で合法でも日本では使用できない添加物を含む食品は輸入自体ができません。 輸入食品の表示は「日本の制度で一から作り直す」作業だと考えてください。
2. 輸入者の表示責任
輸入食品の一括表示では、表示責任者として輸入者の氏名(法人名)と 住所を記載します。国内製造品の「製造者」に相当する位置づけです。 あわせて原産国名の表示が必要になります。
輸入販売を始めるには、食品衛生法に基づく輸入届出(検疫所)が前提です。 営業としては、仕入れた輸入食品を小分けせず販売するだけなら 販売業の届出等で扱われる場合が多いですが、 小分けや詰め替えをすると製造加工側の許可の話になります。 表示責任者の使い分けは製造者・販売者・加工者表示の使い分けをご参照ください。
3. 一括表示の記載例
輸入オリーブオイル(瓶入り250g)の表示例です。
| 名称 | 食用オリーブ油 |
| 原材料名 | 食用オリーブ油 |
| 内容量 | 250g |
| 賞味期限 | 2027.7.18 |
| 保存方法 | 直射日光を避け、常温暗所で保存してください |
| 原産国名 | イタリア |
| 輸入者 | 〇〇トレーディング株式会社 東京都〇〇区〇〇1-2-3 |
油脂のように原材料が単一の食品でも、名称、期限、保存方法、原産国名、輸入者の表示は必要です。 現地の期限表記(DD/MM/YYYY等)は日本の年月日形式に直して記載します。 この読み替えを誤ると期限の月日が入れ替わる事故が起こるため、 仕入れ元への確認を徹底してください。
4. 輸入食品特有の注意点
「原産国」の判定
原産国は「実質的な変更をもたらす行為が行われた国」で判定されます。 A国産の原料をB国で加工した食品の原産国はB国です。 単なる詰め替えや小分け、ラベル貼りは実質的変更に当たりません。 「ヨーロッパの雰囲気」で誤認させるパッケージ(実際はアジア製造等)は 景品表示法の問題にもなります。
現地規格書の入手が全ての前提
添加物とアレルゲンを日本基準で表示し直すには、 現地メーカーの成分規格書(英文でも)が不可欠です。 規格書が入手できない商品は、表示が作れないだけでなく 輸入届出の審査でも支障が出ます。 「規格書を出せる仕入先とだけ取引する」ことが、輸入食品ビジネスの品質管理の第一歩です。 添加物表示の日本の体系は添加物表示のルールをご参照ください。
よくある質問
Q. 海外のパッケージのまま、ポップで説明を付けて売ってはだめですか?
A. だめです。容器包装への日本語の一括表示(日本の基準に基づくもの)が必要で、 店頭ポップやECの商品説明では代替できません。
Q. 個人輸入した食品を販売できますか?
A. 販売目的の輸入には検疫所への輸入届出が必要です。 個人消費用として輸入したものを販売に転用することはできません。
まとめ
輸入食品の表示は、現地表示の翻訳ではなく日本基準での作り直しです。 原産国名と輸入者の表示、日本形式の期限、日本の体系での添加物とアレルゲン。 これらを支えるのは現地メーカーの規格書であり、 規格書を出せる仕入先の選定が事業の土台になります。
EC販売の法的義務は食品ネット販売の特定商取引法表示もあわせてご参照ください。
参照法令: 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)、食品衛生法
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