コレステロール・飽和脂肪酸の表示|脂質の内訳表示の実務
この記事の要点(3点)
- ・ 飽和脂肪酸とコレステロールは任意表示の成分(飽和脂肪酸は表示推奨)。表示する場合は脂質の内訳として書く
- ・ 「コレステロールゼロ」の訴求には基準(100g当たり5mg未満等)に加え、飽和脂肪酸量の条件も付く
- ・ 植物油系商品の「コレステロールゼロ」は当たり前表示とされるリスクがある。もともと含まない食品での強調は優良誤認になり得る
根拠: 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)
1. 脂質の「内訳」を書く制度
義務5項目の脂質は総量だけの表示ですが、 脂質の質への関心の高まりを受けて、 内訳の任意表示が制度化されています。 飽和脂肪酸は生活習慣病との関連から表示が推奨される成分と 位置づけられ、コレステロール、n-3系脂肪酸、n-6系脂肪酸も 任意表示の対象です。
書き方は「脂質 15g(飽和脂肪酸 5g)」のような内訳形式か、 脂質の次の行に続ける形式です。 トランス脂肪酸を開示する場合に飽和脂肪酸とコレステロールの併記が 求められることはトランス脂肪酸の表示で解説した通りで、脂質の内訳はセットで設計するのが実務です。
2. 「ゼロ」「低」訴求の基準
コレステロールと飽和脂肪酸の低減訴求には、それぞれ基準があります。
- コレステロールゼロ(無、ノン):食品100g当たり5mg未満 (飲料は100ml当たり)。加えて飽和脂肪酸の量と熱量に関する条件も定められています
- コレステロール低(低減):100g当たり20mg以下等の基準+飽和脂肪酸条件
- 飽和脂肪酸ゼロ:100g当たり0.1g以下
- 飽和脂肪酸低:100g当たり1.5g以下かつ熱量に占める割合10%以下等
コレステロールの基準に飽和脂肪酸条件が付くのは、 「コレステロールは低いが飽和脂肪酸が多い」食品が 健康イメージで誤認されることを防ぐためです。 基準の数値は食品表示基準の別表で確認し、 自社製品の計算値で判定してから使ってください。
3. 「当たり前表示」という落とし穴
植物油はもともとコレステロールをほぼ含みません (コレステロールは動物性食品の成分です)。 その植物油に「コレステロールゼロ」と大書することは、 事実ではあっても「その商品だけの特長であるかのような誤認」を生みます。 同種の商品なら全てゼロなのに、 自社品だけが健康的だと見せる構図だからです。
この種の「当たり前表示」は景品表示法の運用で問題とされてきた類型であり、 消費者庁の指摘事例もあります。 強調は「同種品との差がある事実」に対して行うのが原則です。 この考え方は無添加表示の議論とも通じます。無添加・不使用表示ガイドラインをご参照ください。
4. 計算実務のポイント
飽和脂肪酸とコレステロールの計算も、成分表の収載値×使用量の合算が基本です。 動物性材料(バター、肉、卵、乳製品)が主な供給源のため、 これらの使用量が多い菓子や惣菜では数値が大きくなります。 バター使用を訴求する商品(「バターたっぷり」)は、 美味しさの訴求と飽和脂肪酸の数値が同時に上がるという トレードオフを認識しておいてください。 脂質の量は熱量にも直結します(9kcal/g)。 熱量計算との関係は熱量(カロリー)の計算方法をご参照ください。
よくある質問
Q. 飽和脂肪酸の表示は義務になったのですか?
A. 義務ではなく「表示を推奨する成分」の位置づけです。 義務5項目に飽和脂肪酸と食物繊維を加えた表示が望ましいとされています。
Q. 「植物性だからヘルシー」と書いてもいいですか?
A. 推奨できません。植物性でも飽和脂肪酸の多い油脂(パーム油、ココナッツオイル等)があり、 漠然としたヘルシー訴求は根拠を示せません。数値の事実表示を基本にしてください。
まとめ
コレステロールと飽和脂肪酸の表示は、脂質の内訳という様式、 飽和脂肪酸条件付きのゼロ基準、当たり前表示の回避という3点で設計します。 数値の事実を書き、同種品との実差がある強調だけを行う。 脂質の質の訴求は、この規律の上でこそ信頼されます。
栄養成分表示の基本は栄養成分表示の計算方法をご参照ください。
参照法令: 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)別表(栄養強調表示の基準値)
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