糖類ゼロ・無糖の基準|甘い「ゼロ」の制度設計
この記事の要点(3点)
- ・ 「糖類ゼロ」「無糖」は100g(100ml)当たり糖類0.5g未満で表示できる。判定対象は糖類(単糖類+二糖類)であり糖質ではない
- ・ 「糖類控えめ(低糖類)」は食品5g以下、飲料2.5g以下(100g/100ml当たり)
- ・ 「甘さ控えめ」は味覚の表現であり栄養強調表示ではない。糖類の量と無関係に使えるが、誤認を招く使い方は避ける
根拠: 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)
1. 判定されるのは「糖類」である
無糖コーヒー、糖類ゼロのチューハイ、シュガーレスのガム。 これらの表示が判定される対象は糖類(単糖類と二糖類)です。 でんぷんや糖アルコールを含む広い概念である糖質ではありません。 基準は100g当たり(飲料は100ml当たり)0.5g未満。 「無糖」「シュガーレス」「ノンシュガー」「糖類ゼロ」はいずれもこの基準の表現です。
この構造ゆえに、糖類ゼロの商品がキシリトールやマルチトール (糖アルコール=糖質側)で甘い、という設計が成立します。 糖類、糖質、炭水化物の包含関係は糖質・糖類・炭水化物の違いで整理しています。
2. 糖類の強調基準の一覧
| 強調 | 表現例 | 基準(100g/100ml当たり) |
|---|---|---|
| 含まない旨 | 無糖、糖類ゼロ、シュガーレス | 糖類0.5g未満 |
| 低い旨 | 低糖類、糖類控えめ | 食品5g以下、飲料2.5g以下 |
| 低減した旨 | 糖類〇%カット | 比較対象明示+低減率25%以上等 |
なお、かつての「微糖」表示は低い旨の基準で整理されており、 コーヒー飲料の「微糖」「低糖」は飲料基準(2.5g以下)を満たす必要があります。
3. 「甘さ控えめ」と「砂糖不使用」の位置づけ
売り場には基準の外側にいる表現が2つあります。
- 甘さ控えめ:味覚の主観表現であり、栄養強調表示ではありません。 糖類の量とは制度上無関係に使えます。ただし高糖類の商品に使えば 誤認の問題は残ります
- 砂糖不使用:砂糖を加えていないという製法の事実表示。 果汁やはちみつ由来の糖類はたっぷり含み得ます。 無糖と混同させるパッケージ設計は景品表示法リスクがあります
「甘くなさそうに見せる」表現の選択肢が複数あるからこそ、 自社の主張がどの制度に立つのか(基準の内か外か)を明確にし、 消費者の受け取りと実態のずれを作らないことが誠実な設計です。
4. 手作り商品での実務
小規模事業者が「無糖」「低糖類」を狙う場面は、 無糖の飲料(ストレートティー等)、甘味料置き換えの菓子、 果実そのものの甘さで作るコンポート等です。 注意すべきは果物由来の糖類です。 砂糖を使わなくても、果実の糖類(果糖、ブドウ糖、ショ糖)は 糖類としてカウントされるため、 フルーツ主体の商品で糖類ゼロはまず成立しません。 成分表で果物の糖類量を確認し、計算で判定してから表現を選んでください。 逆に、無糖のストレートティーやブラックコーヒーのように 明確に基準を満たす商品なら、「無糖」の二文字は 強い購買動機を持つ消費者層(糖質制限中、血糖管理中の方)への 確実な訴求になります。 基準を満たす商品では堂々と使い、満たさない商品では潔く諦める。 この割り切りが糖類表示の実務です。 計算の枠組みは栄養成分表示の計算方法をご参照ください。
よくある質問
Q. はちみつで甘みを付ければ「砂糖不使用」と書けますか?
A. 砂糖を加えていない事実として書けますが、はちみつの糖類は糖類として残ります。 無糖と誤認させる見せ方を避け、はちみつ使用を明示するのが誠実です。
Q. シュガーレスガムはなぜ虫歯になりにくいとうたえるのですか?
A. 糖類ゼロ基準に加え、キシリトール等でのトクホや機能性の枠組みを使った商品があるためです。 機能の表示には別制度の裏付けが必要で、糖類ゼロ表示だけでは機能はうたえません。
まとめ
糖類系の訴求は、判定対象が糖類であること、0.5g未満のゼロ基準、 5g/2.5g以下の低基準という数値の土台の上に、 「甘さ控えめ」「砂糖不使用」という基準外表現との使い分けが乗る構造です。 果物由来の糖類まで含めた計算で判定し、 消費者の受け取りと実態のずれを作らないでください。
カロリー側のゼロ基準はカロリーゼロ・オフの基準をご参照ください。
参照法令: 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)別表(栄養強調表示の基準値)
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