成形肉・加工肉の表示|「ステーキ」と呼べる肉、呼べない肉

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この記事の要点(3点)

  • ・ 成形肉・結着肉は「ステーキ」とだけ表示すると優良誤認のおそれ。「成形肉使用」等の打ち消し表示を近くに明瞭に書く
  • ・ 成形肉・タレ漬け・テンダライズ処理肉は内部汚染の可能性があるため、中心部まで十分な加熱が必要。販売時はその旨の情報提供が安全上も必須
  • ・ ハム・ソーセージ等の食肉製品の製造販売には専用の営業許可が必要。飲食店の許可だけでは製造販売できない

※ 表示の詳細は食品表示基準・消費者庁の外食メニュー表示の考え方をご確認ください。

1. 成形肉とは何か、なぜ表示が問われるか

成形肉は、細かい肉やいくつかの部位を結着剤等で ひとつの塊に成形した肉です。 サイコロステーキや安価なステーキ商材として広く流通しており、 商品として何ら違法ではありません。 問われるのは呼び方です。 消費者が「ステーキ」から想像するのは一枚肉であり、 成形肉をただ「ステーキ」と表示すれば、 実際より優良と誤認させる表示(景品表示法の優良誤認)に 該当するおそれがあります。

実務の型は、メニュー・ラベルの商品名の近くに 「成形肉を使用しています」等の説明を、 読める大きさで添えることです。 離れた場所の小さな注記は打ち消し表示として機能しません。

2. 加熱の情報提供は安全の問題

表示の問題と重なって、より重い安全の論点があります。 成形肉、タレに漬け込んだ肉、筋切り(テンダライズ)処理をした肉は、 表面の菌が内部に入り込んでいる可能性があるため、 中心部まで十分に加熱する必要があります。 レアで提供する一枚肉のステーキと同じ感覚で 提供・販売してはいけない肉です。

  • 飲食店の提供:中心部まで加熱した状態で提供する
  • 生肉・半調理品の販売:「中心部まで十分加熱してください」の 情報提供を表示する
  • 過去には成形肉の加熱不足による食中毒事案が実際に起きており、 行政の注意喚起も出ている領域

生食用食肉(ユッケ等)には別途厳格な規格基準と表示義務があり、 一般の飲食店が扱える領域ではありません。 肉の表示の基本は食肉の表示をご参照ください。

3. 加工肉の製造販売には専用の許可

ハム、ソーセージ、ベーコンなどの食肉製品を製造して販売するには、 食肉製品製造業という専用の営業許可が必要です。 飲食店営業の許可で店内メニューとして提供することと、 パックして販売することは、許可の上で全く別の行為です。 自家製ベーコンやサラミを物販したい場合は、 施設基準も含めて管轄保健所に相談してください(保健所への相談の仕方)。

容器包装に入れて販売する食肉製品には、 名称・原材料・添加物(発色剤等)・アレルゲン・期限・保存方法などの 一括表示が必要です。 発色剤(亜硝酸ナトリウム)など添加物の表示(添加物表示のルール)は、この品目で特に確認が多い論点です。

4. メニュー・ラベルの実務チェック

  • 成形肉・結着肉を使う商品に「ステーキ」単独の表記をしていないか
  • 打ち消し表示(成形肉使用)は商品名の近くで読める大きさか
  • タレ漬け・テンダライズ処理肉の加熱情報を提供しているか
  • ハンバーグ・つくね等のひき肉商品は十分加熱の運用になっているか
  • 物販するなら許可(食肉製品製造業等)の要否を保健所に確認したか
  • デリバリー・ECの商品説明でも同じ打ち消し表示をしているか

よくある質問

Q. 「サイコロステーキ」という名前なら成形肉でも問題ないですか?

A. 名前だけで安全とは言えません。成形肉を使用しているなら、 その旨の表示を近くに添えるのが確実です。 消費者が一枚肉と誤認しない表示になっているかで判断してください。

Q. 「和牛」と「国産牛」は同じ意味ですか?

A. 別物です。和牛は特定の品種群の呼称、国産牛は国内で 飼養された牛の意味で、外国種でも国産牛になり得ます。 メニューでの使い分けを誤ると優良誤認の類型に触れます。

まとめ

成形肉・加工肉の表示は、「何の肉かを偽らない」景品表示法の論点と、 「中心部まで加熱する」食品安全の論点が重なる領域です。 打ち消し表示は近くに明瞭に、加熱情報は確実に、 物販には専用の許可を。 この3点を押さえれば、安価な商材を誠実に使うことは 何ら後ろめたい経営ではありません。

メニュー表示全体のルールはメニュー表示と景品表示法をご参照ください。


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