水産物の表示|漁獲水域・解凍・養殖の3点セット
この記事の要点(3点)
- ・ 水産物の表示は名称、原産地(水域名または水揚げ港等)に加えて「解凍」「養殖」の表示が特徴
- ・ 冷凍品を解凍して売るなら「解凍」、養殖魚には「養殖」の表示が義務。天然との区別は価格に直結する
- ・ 刺身の盛り合わせは加工食品扱いになるなど、切り方や組み合わせで表示区分が変わる
根拠: 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)
1. 魚の表示は「どこで獲れたか」+「どう扱われたか」
鮮魚パックの表示は、生鮮食品としての名称と原産地に、 水産物特有の2つの情報を加えた構成です。
- 原産地:国産は漁獲した水域名(太平洋等)または水揚げ港、都道府県名。 水域名の記載が困難な場合は水揚げ港名等で代替。輸入は原産国名(水域名の併記可)
- 解凍:冷凍したものを解凍して販売する場合に表示。 「解凍」の二文字が、冷凍流通を経たことを消費者に伝える
- 養殖:養殖されたものに表示。天然か養殖かは 消費者の選択と価格の重要な判断材料
回遊魚のように複数の水域で漁獲される魚、 輸入後に国内で蓄養された魚など、原産地の判定には細かいルールがあります。 仕入れ伝票の産地情報を正確に引き継ぐことが実務の基本です。
2. 刺身になると表示が変わる
水産物の表示区分は、加工の度合いで生鮮と加工の間を行き来します。
| 商品 | 区分 |
|---|---|
| 丸魚、切り身、単品の刺身(さく、スライス) | 生鮮食品 |
| 複数種の刺身盛り合わせ | 加工食品(一括表示) |
| 塩蔵、干物、漬け魚 | 加工食品(一括表示) |
単品の刺身は生鮮扱いで名称と原産地(+解凍、養殖)ですが、 マグロとタイとサーモンを盛り合わせた瞬間に加工食品となり、 一括表示(原材料名にそれぞれの魚種と原産地情報等)に切り替わります。 鮮魚店がパック惣菜へ展開するときに最初に押さえるべき境界です。 干物側の表示は乾物・干物の食品表示ラベルの書き方をご参照ください。
3. アレルゲンと寄生虫の情報提供
えび、かに、さば等の表示
えびとかには特定原材料(表示義務)、さば、さけ、いか、あわび等は推奨表示品目です。 加工食品に切り替わった商品ではこれらの記載が必要になります。 しらすや小魚製品のえびかに混獲情報の実務は佃煮の食品表示ラベルの書き方で扱った通りです。
アニサキス対策の案内
アニサキスによる食中毒は近年の食中毒統計で上位を占めます。 生食用の魚では、冷凍処理(-20℃で24時間以上等)の実施や、 「よく見て取り除いてください」といった注意喚起の情報提供が 事業者の実務として重要になっています。 法定表示ではありませんが、事故時には提供情報の有無が問われます。
4. 販売業の許可と物販展開
鮮魚の小売には魚介類販売業の許可が必要です (包装済み鮮魚のみの販売は届出で足りる場合があります)。 干物や漬け魚の製造卸には水産製品製造業が関わります。 「魚屋の惣菜」「漁港の直売加工品」は人気の物販ですが、 加工に踏み出すごとに許可区分と表示の要件が積み上がる構造は 肉や青果と同じです。 制度の全体像は食品の営業許可制度(2021年改正)の解説をご参照ください。
よくある質問
Q. 「朝獲れ」「新鮮」の表示に規制はありますか?
A. 事実に基づく限り使えますが、解凍品に「朝獲れ」を付けるような 実態と異なる鮮度訴求は優良誤認になります。 「解凍」表示との整合を必ず確認してください。
Q. サーモンとトラウトの名称はどう書くべきですか?
A. 名称は一般に通用する標準的な魚種名で書きます。 ニジマス(トラウト)をサケ類と誤認させる表示は問題になった経緯があり、 魚種名の正確な記載が基本です。
まとめ
水産物の表示は、水域名等の原産地に「解凍」「養殖」を組み合わせた 生鮮の型と、盛り合わせや加工で切り替わる一括表示の型の使い分けです。 アニサキス等の安全情報の提供も含め、 仕入れ情報を正確に引き継ぐ運用が表示品質を決めます。
魚の原価管理は歩留まり率を考慮した原価計算をご参照ください。
参照法令: 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)、食品衛生法
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