ソース・タレの食品表示ラベルの書き方|飲食店の味の瓶詰販売


この記事の要点(3点)

  • ・ 焼肉のタレや餃子のタレの瓶詰販売には調味料製造業等の許可が必要。飲食店営業の範囲では売れない
  • ・ タレはしょうゆベースが多く小麦、大豆、ごま、りんごなどアレルゲンの品目数が多くなりがち
  • ・ pH と塩分、糖度で保存性が決まる。にんにく入りの低酸性タレは常温流通のリスク評価が特に重要

根拠: 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)、食品衛生法

1. 「秘伝のタレ」を商品にするまでの距離

焼肉店の自家製タレ、ラーメン店の辛味ダレ。 常連客の「これ売ってよ」という声は、物販参入の典型的なきっかけです。 しかし飲食店の厨房で作ったタレをそのまま瓶に詰めて売ることはできません。 製造業の許可、殺菌設計、表示という3つの準備が必要です。

距離感をつかむにはドレッシングの例が参考になります。 タレとドレッシングは製造の観点ではよく似た商品で、ドレッシングの食品表示ラベルの書き方で解説した許可と表示の枠組みがほぼそのまま当てはまります。 違いは、タレの多くがしょうゆベースの低酸性寄りの液体で、 酢の防腐力に頼れない分、殺菌と保存の設計がややシビアになることです。

2. 必要な営業許可

タレやソースの製造販売には調味料製造業(2021年改正でソース類製造業等を統合した区分) や密封包装食品製造業の許可が関わります。 どの区分になるかは商品の pH、水分活性、包装形態、殺菌方法で変わるため、 レシピと販売計画を持って管轄保健所に相談するのが最短ルートです。 制度の全体像は食品の営業許可制度(2021年改正)の解説をご参照ください。

3. 一括表示の記載例

焼肉のタレ(瓶入り250g)の表示例です。

名称焼肉のたれ
原材料名しょうゆ(国内製造)、砂糖、りんご、にんにく、ごま油、ごま、みそ、唐辛子(一部に小麦、大豆、りんご、ごまを含む)
添加物調味料(アミノ酸等)、増粘剤(キサンタンガム)
内容量250g
賞味期限2026.11.18
保存方法直射日光を避け常温で保存。開栓後は要冷蔵(10℃以下)
製造者〇〇焼肉店 東京都〇〇区〇〇1-2-3

焼肉のタレは、しょうゆ(小麦、大豆)、すりおろしりんご、ごまと、 アレルゲン品目が自然に4つ以上並ぶ商品です。 レシピの材料一つずつに規格書を取り、アレルゲンを漏らさず拾ってください。 はちみつを使う配合は乳児への注意表記も検討対象です。

4. タレ特有の注意点

にんにくと低酸性のリスク

生にんにくを油に漬ける、低酸性の液に沈めるという条件は、 ボツリヌス菌のリスク評価が必要な組み合わせとして知られています。 にんにくたっぷりの自家製タレを常温流通させる場合は、 pH調整(酢や有機酸の添加)や加熱殺菌条件について検査機関に相談し、 根拠を持った設計にしてください。 要冷蔵にすればリスクは大きく下がりますが、流通コストは上がります。

「化学調味料不使用」表示の扱い

タレ商品では「化学調味料不使用」の訴求が好まれますが、 「化学調味料」は行政上の分類名ではなく、 2022年の食品添加物の不使用表示に関するガイドラインで この種の表示の考え方が整理されています。 使うなら根拠と表現の正確さを確認してください。詳しくは添加物表示のルールで扱っています。

よくある質問

Q. 店で出しているタレを小分けして常連客に売るだけでも許可が要りますか?

A. 要ります。販売数量や相手が常連かどうかは関係なく、 容器に詰めて販売する行為には製造業の許可と表示が必要です。

Q. 原材料の「しょうゆ」はメーカー名まで書く必要がありますか?

A. メーカー名は不要です。「しょうゆ」という一般的な名称と、 しょうゆ由来のアレルゲン(小麦、大豆)の記載があれば足ります。

まとめ

タレの瓶詰販売は、調味料製造業等の許可、アレルゲンの多さ、 にんにく系低酸性液のリスク評価という3つの論点を越えれば商品になります。 飲食店の味をそのまま詰めるのではなく、 流通に耐える殺菌と保存の設計を挟むことが「秘伝のタレ」を商品に変える工程です。

物販の値付けは手作りお菓子の適正価格の決め方の考え方が応用できます。

参照法令: 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)、食品衛生法


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