漬物の食品表示ラベルの書き方|許可制移行後の製造販売ルール


この記事の要点(3点)

  • ・ 2021年6月施行の改正食品衛生法で漬物製造業が営業許可業種になり、届出だけで製造販売できた時代は終わった
  • ・ 農家の直売所向け漬物も対象。施設基準を満たした製造場所が必要になり、廃業か許可取得かの判断を迫られた事業者が多い
  • ・ 表示では原料原産地、添加物(保存料、着色料)、アレルゲンの整理が中心。うす塩化した現代の漬物は保存性が低い点にも注意

根拠: 食品衛生法(2021年改正)、食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)

1. 漬物を取り巻く制度は大きく変わった

道の駅や直売所に並ぶ自家製漬物は、長らく地域の食文化を支えてきました。 かつて漬物の製造は多くの自治体で届出程度の手続きで始められましたが、 2021年6月施行の改正食品衛生法で漬物製造業が営業許可業種に位置づけられ、 施設基準を満たした製造場所と許可の取得が必要になりました。 経過措置期間を経て、現在は許可なしの製造販売はできません。

この改正の背景には、浅漬けを原因とする大規模な食中毒事件があります。 浅漬けは発酵も加熱もしない「調味した生野菜」に近い食品で、 伝統的な高塩分の漬物と違って保存性がありません。 制度の変更は、この危険性の認識に基づいています。 改正全体の解説は食品の営業許可制度(2021年改正)の解説をご参照ください。

2. 必要な営業許可と施設基準

漬物を製造して販売するには漬物製造業の営業許可が必要です。 住居の台所と区画された製造室、手洗い設備、器具の洗浄殺菌設備といった施設基準を満たし、 食品衛生責任者を置いた上で、保健所の実地確認を受けます。 自宅の台所での製造は原則として認められません。

農家が自家栽培の野菜を漬けて直売所で売る場合も同じ扱いです。 「販売量が少ないから」「昔からやっているから」という理由で例外にはなりません。 これから始める場合は、管轄保健所への事前相談から着手してください。

3. 一括表示の記載例

きゅうりの浅漬け(袋入り)の表示例です。

名称塩漬(浅漬け)
原材料名きゅうり(国産)、漬け原材料(食塩、こんぶだし、しょうゆ)(一部に小麦、大豆を含む)
添加物調味料(アミノ酸等)、酸味料
内容量150g
消費期限2026.7.23
保存方法要冷蔵(10℃以下)
製造者〇〇農園 長野県〇〇市〇〇1-2-3

漬物は「漬け原材料」として調味液の内容を括弧書きでまとめる書き方が定着しています。 しょうゆやだしを使うため、小麦、大豆のアレルゲンが調味料経由で入ります。 原料の野菜には原料原産地表示(上の例では「国産」)が必要です。 原産地表示の制度は食品表示ラベルの作り方で概説しています。

4. 漬物特有の注意点

「うす塩」は保存食ではない

伝統的な漬物は高塩分と発酵による酸で保存性を確保していました。 現代の減塩志向に合わせたうす塩の浅漬けは、この保存の仕組みを持たない別の食品です。 要冷蔵と短い消費期限を前提に設計し、 「漬物だから日持ちする」という思い込みを捨ててください。 着色料(ウコン、紅麹など)や保存料(ソルビン酸)を使う場合は添加物欄への記載が必要です。

キムチ、ぬか漬けの発酵管理

発酵が進む漬物は、流通中も酸味と風味が変化し続けます。 包装内のガス発生で袋が膨らむこともあり、包材選定(ガス抜きバルブ等)と期限設定は 発酵の進行を織り込んで行います。 期限設定の考え方は賞味期限と消費期限の違いと決め方をご参照ください。

まとめ

漬物は、許可制への移行という制度変更と、うす塩化による保存性の低下という 2つの変化を踏まえて製造販売を設計する食品です。 表示では漬け原材料の括弧書き、調味料経由のアレルゲン、原料原産地の3点を押さえてください。 これから参入するなら、保健所への事前相談が最初の一歩です。

直売所やECでの販売を考えている方はBASEで食品を販売する前に知っておきたい法的義務もあわせてご参照ください。

参照法令: 食品衛生法(2021年6月施行改正)、食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)


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