減塩・塩分控えめの基準|ナトリウム基準と相対表示のルール


この記事の要点(3点)

  • ・ 「塩分控えめ(低い旨)」はナトリウム120mg以下/100g(食塩相当量で約0.3g)という厳しい基準。多くの加工食品では達成困難
  • ・ 現実的な訴求は「減塩〇%」の相対表示。比較対象の明示と低減率25%以上(みそ、しょうゆは特例あり)が要件
  • ・ しょうゆ・みそには公正競争規約や業界基準との整合も必要。「うす塩味」は味覚表現で強調表示ではない

根拠: 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)

1. 「塩分控えめ」のハードルは想像より高い

減塩は健康訴求の定番ですが、 「低い旨」の強調(塩分控えめ、低塩)の基準はナトリウム120mg以下/100g、 食塩相当量に直すと約0.3g/100gです。 漬物、佃煮、パン、惣菜といった通常の加工食品でこの水準を満たすのは ほぼ不可能に近い数字です。

つまり多くの商品にとって「塩分控えめ」は使えない表現であり、 安易に書けば強調表示違反になります。 この現実を知ることが、減塩訴求の設計の出発点です。 食塩相当量の計算は食塩相当量の計算方法をご参照ください。

2. 現実的な武器は相対表示

加工食品の減塩訴求の主戦場は、 「当社従来品より塩分25%カット」のような低減した旨の相対表示です。 要件は次の通りです。

  • 比較対象の明示:「当社従来品比」「成分表の〇〇比」を近接表示
  • 低減率25%以上:ナトリウムの場合。 ただし、みそ、しょうゆには特例(みそ15%以上、しょうゆ20%以上)が設けられています。 これらの食品で25%減が技術的に困難(発酵や保存性への影響)なことへの配慮です
  • 絶対差の要件:低い旨の基準値相当の差があること

比較対象は実在し、現に販売している(していた)ものである必要があります。 架空の「従来品」をでっち上げた比較は景品表示法の問題そのものです。

3. 基準の外にいる表現たち

  • うす塩味、あま塩味:味覚の表現であり、栄養強調表示ではありません。 ただし「うす塩」(味が付かない表現)は低減の意味を帯びるとされる等、 用語の使い分けには通知の整理があります
  • 食塩不使用:無塩ドレッシングのように食塩を加えていない事実表示。 原材料由来のナトリウムは含み得ます
  • 減塩タイプ:低減の主張として相対表示の要件がかかると考えるのが安全です

この使い分けは糖類の「甘さ控えめ」問題と同じ構造です。 味覚表現と含有量主張の線引きは糖類ゼロ・無糖の基準でも扱っています。

4. 減塩商品開発の実務

減塩は表示の問題である前に、保存性と味の再設計問題です。 塩は味付けであると同時に、水分活性を下げる保存の柱でもあります。 漬物や佃煮の減塩は保存性の低下と引き換えであり、 要冷蔵化や期限短縮が必要になります。 この構造は漬物の食品表示ラベルの書き方で解説した通りです。 「減塩して期限はそのまま」は保存設計の破綻を意味します。 訴求と保存試験をセットで進めてください。

よくある質問

Q. 「塩分50%カット」のしょうゆはどうやって実現しているのですか?

A. 脱塩処理やカリウム塩への置き換え等の技術で実現されています。 カリウム置き換え品は腎疾患のある方への注意情報が添えられることがあり、 減塩技術には固有の配慮点があります。

Q. 外食メニューの「減塩メニュー」にも基準は適用されますか?

A. 外食メニューは食品表示基準の直接の対象外ですが、 根拠のない減塩訴求は景品表示法の問題になります。 栄養計算に基づく数値(食塩相当量〇g)の併記が誠実な形です。

まとめ

減塩訴求は、達成困難な絶対基準(120mg以下)ではなく、 比較対象明示+25%減(みそ・しょうゆは特例)の相対表示が現実的な武器です。 味覚表現との線引きを守り、 保存性の再設計とセットで商品を作る。 塩の二役(味と保存)を理解した設計が、減塩商品の成否を分けます。

強調表示全体の体系は栄養強調表示のルールをご参照ください。

参照法令: 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)別表(栄養強調表示の基準値)


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